金融緩和政策下で注目すべき資産を語る
世界3大投資家の1人とされるジム・ロジャーズ氏が、各国政府の金融緩和政策について警鐘を鳴らし、今保有しておくべき資産について語った。
複数メディアのインタビューに答えたロジャーズ氏は、一貫してパンデミックが経済にもたらす影響を緩和するため政府が貨幣増刷を行っていることについて懸念を表明した。
日本、イギリス、ヨーロッパ、アメリカのすべてが、同時にお金を増刷するのは歴史上初めてだ。
人工的に作り出された流動性の大海がここにあって、マーケットは好調だが、経済のためにはあまり役立っていない。この状況が終われば、私たちは皆ひどい対価を支払うことになる。
米国ではコロナ危機に伴い、金利がゼロに引き下げられた。無制限の量的緩和が発表され、中央銀行は社債の購入開始、また州・地方債を購入するイニシアチブも導入した。
一方、ロジャース氏は、あくまでも問題を先送りにしているだけで、前例のない金額の債務により、次にマーケットに危機が訪れた時には「私の人生で最悪の事態になる」と懸念をあらわにした。
金、銀、米ドル、交通観光産業その他
こうした状況でどのような資産を保有するかについて聞かれたロジャーズ氏は、金と銀を所有しており、農業にもまだ期待しているとコメント。
さらに、パンデミックの影響を強く受けて暴落した交通、航空、観光、その他産業の復活にも賭けているとも述べた。実際にロシアの海運会社、中国のワイン会社の購入を行なったという。
こうした分野はすでに底値になっているとの考えのもと、市場全体の弱気傾向が再び到来したとしても、おそらくそれほど下落しないだろう、と分析している。
また、世情が混乱している時には、人々は安全資産と考えられる米ドルに頼ることになるため、ドルは今後高値になり、バブルになる可能性もあると予測。現在、多くの米ドルを保有しているが、その際、ドルを売って他の資産にそのお金を移すつもりだという。
ビットコインに関する見解
これまでロジャーズ氏は、投機的なギャンブルの対象になっている仮想通貨が本当に通貨としての役割を持つことに成功した際には、政府がそれを非合法なものとして抹消してしまうだろうと独自の見解を発表していた人物で、政府が人々を管理できるデジタル通貨が生き残り、政府が影響を与えられない通貨は消される運命にあるとしていた。
過去には金融メディア「China Money Network」のインタビューで、以下のように購入を示唆する内容をコメントしたこともあるが、金融危機の状況下で見解は変化したか、注目も集まる。
仮想通貨について十分に学習したことはなかった。もっと知っておけばよかった。もし私がもっと賢ければ、最初に人から仮想通貨について聞いた初期の段階で購入していただろう。
私は今の時点でも、それに投資するほどには、仮想通貨について理解していない。今ビットコイン価格は上昇しているが、もし将来値下がりすることがあって、その時私に十分な知識があれば購入するかもしれない。
一方、昨今の世界的な金融緩和政策に直面して、仮想通貨について従来否定的だった著名投資家が肯定的な方向に意見を変えた例が散見されている。
最近では米国の金融大手プルデンシャル証券の元CEOが、批判的な意見を翻し、ビットコインは投資先として魅力的と語った。
「政府により損なわれず、無価値にならない」資産として、ポートフォリオを大幅に再編成しビットコインを組み入れることに前向きな立場を示している。
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