円建てステーブルコイン上場
暗号資産(仮想通貨)取引所Liquid Global(以下、リキッドと表記)は、世界初となる日本円と連動したステーブルコイン「GYEN」を上場すると発表した。取り扱い開始は3月1日を予定。同時に米ドル建てのステーブルコイン「ZUSD」も上場させる。
📢 We are excited to announce the upcoming dual listing of $GYEN, the world’s first regulated Japanese yen stablecoin, and $ZUSD, a U.S. dollar-backed stablecoin. @GMOTrust 🤝
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— Liquid Global Official (@Liquid_Global) February 18, 2021
リキッドの公式発表によると、流動性を最適化するため、GYENと日本円は単一のオーダーブック(板)に統合され、24時間365日リアルタイムで、GYEN/JPYの交換が可能になる。
特筆すべきは、今回同時に上場するステーブルコインGYENとZUSDを介して、米ドルと日本円の合成FXペアの提供も間もなく開始すると発表したことだろう。
ちなみに、2019年12月に国際決済銀行(BIS)が発表した、外国為替市場通貨ペア別取引量とシェア(スポット取引)に関するデータによると、米ドル/円ペアの1日当たりの平均取引量は、約8710億ドル(91.5兆円相当)で外国為替市場全体の13.2%を占める。なお、ビットコイン(BTC)の1日当たりの出来高は、執筆時現在約9.5兆円。
仮想通貨取引所の機能が、ステーブルコインを介してFX取引にまで広がることになる。
想定される利用事例
リキッドは、主なユースケースとして次のような事例を想定している。
1. 仮想通貨取引での利用
- 極端な価格変動時に交換し、大幅な下落の動きに対応
- 数々のデジタル資産購入と換金の手段
- 高利回りを得る、またはヘッジ戦略の効率的な手段
2. 決済での利用:金融システムの制約を緩和(24時間/365日可能)
- 国内送金
- 海外送金
- P2P取引での利用
GMOが発行
GYEN及びZUSDは、東京に本社を置くGMOインターネット株式会社(以下、GMO)が、米国で設立した「GMO-Z.com Trust Company, Inc.」(以下、GMO Trust)が発行する。GMO Trustは昨年12月29日に、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)より「特定目的信託会社」の許認可を受けている。
特定目的信託会社は、米連邦法の下、マネーロンダリング防止やサイバーセキュリティ等の面で、銀行と同等の審査基準を満たす必要がある。
GYENの担保となる日本円は、米連邦預金保険公社(FDIC)保険でカバーされる信託銀行口座に保管され、発行されるトークンと1:1の準備資産が維持される。
なお、日本ではステーブルコインに関する規制が確立されていないため、GYEN及びZUSDは日本国外での流通に限定され、まずは海外での利用を促進するようだ。日本の規制整備が進めば、国内取引所への上場も検討する。
世界三大通貨と言われるドルと円のステーブルコインの有用性は、仮想通貨取引だけにとどまらず、海外送金や決済などでも利用されると想定されている。
GYENとZUSDの保管と購入
GYENとZUSDは、イーサリアムブロックチェーンを基盤とするステーブルコインで、保管にはERC-20トークンをサポートするウォレットが必要となる。
GYENとZUSDは、リキッドをはじめとするGMO Trustとの提携取引所で購入できるようになる。また、GMO Trustのサービス対象地域の居住者は、近日公開予定の同社の顧客確認プロセスを完了後に、Stablecoin.z.comより、直接購入することも可能になるという。
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