マスターカードCEO「金融包摂は仮想通貨よりも中銀デジタル通貨の方が相応しい」

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マスターカードCEOの見解

大手金融機関マスターカードのCEOは、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)を金融包摂の適切な手段と見ていることがわかった。

マスターカードのCEOを務めるAjay Banga氏は、フォーチュン誌が主催するオンラインカンファレンス「FORTUNE Global Forum」に登壇。CBDCがボラティリティ面で仮想通貨よりも優れていると指摘し、金融包摂の実現を促進できるとの見解を示した。

金融包摂とは、Swellのバーチャルカンファレンスに登壇した世界銀行グループのMahesh Uttamchandani氏によれば、「世界中の誰もが、すべての基礎的な金融サービスにアクセスできること」。その実現のため、『極度の貧困の撲滅』と『繁栄の共有促進』が必要不可欠な条件とされる。

Banga氏は、「マスターカードは、CBDC分野について最も特許を保有している企業だ」と述べており、中央銀行に対するピッチングと見る意見も見られる。

今年9月にはCBDCをテスト出来るプラットフォームを発表。すでにいくつかの中央銀行と協働していることを明かし、銀行からテック企業まで、様々な企業にプラットフォームへの参加を呼びかけているとした。

仮想通貨とCBDC

仮想通貨セクターを代表するビットコイン(BTC)が「金融包摂」の手段となり得るかの質問に対して、Banga氏は「アンバンク」という銀行口座を持たない人々にとって不十分であると指摘する。

私は市場のボラティリティの大きさを好む人ではない。CBDCはボラティリティが極めて低く、中央銀行が発行するものだ。マスターカード社は、その信者と言い換えることもできる。

ビットコインのボラティリティについて、このようにコカコーラの価格を例に説明した。

想像して見てほしい。今まで金融サービスへのアクセスができなかった人が、ビットコインを使うとする。ビットコインを今日は2本コカ・コーラの価格で買えるが、明日はコカ・コーラ21本分価格で買うことになる。このようなボラティリティがある通貨では、金融包摂にはならないだろう。

また、Banga氏は多くの仮想通貨プロジェクトに直接関与している人物や団体に関しては透明性が低いとして問題視。以前にも仮想通貨の不透明な要素について指摘していた。2017年には、政府が認定するデジタル通貨以外の仮想通貨は「使えないもの」と批判し、2018年には、仮想通貨を交換手段として見なさないとするなど、懐疑論を述べてきた。

2019年には、フェイスブックが主導するリブラ協会に参画したが、同年10月に脱退。その理由について、「金融包摂を唱えるリブラの理念と独自のウォレットを利用することについて矛盾を感じていた点にある」とした。

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