FATFの仮想通貨ガイダンスはどれだけ遵守されているか──レビュー結果を公開

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仮想通貨ガイダンスの現状

金融活動作業部会(FATF)は25日、FATFが定める暗号資産(仮想通貨)に関するルールがどれだけ遵守されているか、レビューを実施した結果を発表した。

報告があった128の国・地域のうち、2019年に最終決定したルールを遵守しているのは58で、半分以下だったという。そのうち、52の国と地域が仮想通貨取引所などのサービス・プロバイダー(VASP)に対し規制を実施し、残りはVASPの運営を禁止していると発表した。

FATFは、マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)を監督する国際的な政府間組織。提示するルールや勧告自体に法的拘束力はないが、加盟国に対して審査を実施し、AMLやCFTにおける非協力国リストを公開するため、多大な影響力を持っている。今回の発表は、21日から25日に開催されたFATFの本会議で、最終決定されたレビューの内容をもとに行った。

仮想通貨業界に対して公表したFATFのガイダンスは、今年3月に改定案が発表されている。改訂されたガイダンスでは、サービスプロバイダーの定義の拡大解釈等を提案。VASPの定義を拡大し、スマートコントラクトやレイヤー2技術を含むネットワーク参加者にまで監視義務を課すことも提唱した。あくまで現時点では提案された段階で、現在はこの改定案に対し、意見も受け付けている。

レビューの結果

今回は12カ月間、ルールを遵守できているかレビューを行ったというが、3月の改定案は対象に含んでいない。あくまで2019年に確定したガイダンスを実施できているかどうかだ。2019年のガイダンスの中で、柱となっているのはトラベル・ルール。今回の発表では「民間企業の間では、トラベル・ルールを実施するためのソリューション開発に進歩が見られた」と説明した。

トラベル・ルール

トラベル・ルールとは、マネーロンダリング等を防止するため、仮想通貨取引の際に、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することをVASPに求めるというルール。

対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。

 

一方でFATFは、民間部門ではなく、国・地域単位としては、多くがトラベル・ルールを含むFATFのガイダンスを実施できていないと述べ、以下のように主張した。

この状況では、必要なソリューションやコンプライアンスの枠組みへの投資を妨げることにつながる。

地域間でガイダンスのコンプライアンスに差があると、マネーロンダリングやテロ資金供与にVASPが悪用されることを、世界規模で防ぐことができない。

その上で、全ての地域ができるだけ早く、FATFのガイドラインに従うように求めた。また発表の中で、ランサムウェア攻撃で仮想通貨が悪用されるリスクを減らすことに重点を置いた新たなアクションをとる可能性も示唆している。

 

今後については、7月5日に改めて詳細を発表すると説明。さらに今回の本会議では、仮想通貨やVASPに関するガイダンスの改訂版を2021年10月に最終決定することに、同意が得られたとも述べている。

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