ビットコイン等の仮想通貨、国が送金手段で本格活用=ベネズエラ

Blockchain
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国営プラットフォームにBTCとLTCウォレット組み込み

ベネズエラが、ビットコイン(BTC)とライトコイン(LTC)のウォレットを政府が運営する暗号資産(仮想通貨)送金プラットフォーム「パトリア」に組み込む方針を発表した。

当局はこれによりベネズエラ市民が、石油を裏付けとするベネズエラ政府独自の仮想通貨「ペトロ」の他、BTCやLTCといった仮想通貨で正式に送金を受け取ることを可能にするとしている。

送金システムにビットコイン等を正式に組み込むことで、ベネズエラ人による仮想通貨の使用がさらに促進される可能性がある。

ベネズエラ国営のプラットフォーム「パトリア」は、海外に拠点を置く個人が、ベネズエラ居住の家族や友人に送金することができるものだ。また、同国内のユーザー同士で資金の送受信に利用することもできる。公表値では、現在の「パトリア」は約2000万人のユーザーが利用している。

ウォレット設置の他にも、「パトリア」には幾つか機能更新が予定されており、以下のような項目が列挙された。

  • 取引システムでのペトロ/ビットコインとペトロ/ライトコインのペアの取扱い開始
  • 取引・送金手数料の更新
  • ペトロ・ビットコイン・ライトコインのウォレットで行われるすべての操作に対する手数料の導入

その他「パトリア」では、ユーザーがBTCとLTCのウォレットから、スマートフォンで使える政府の仮想通貨アプリPetroAppに直接トークンを引き出すことも可能になる予定だ。

こうした変更は、段階的に行われるようで 「この通知から数日で、これらの機能の一部は、変更をテストする目的で、選ばれたユーザーのみが利用できるようになる」とされている。

また、パトリアにはこうしたサービスが徐々に組み込まれていき、アップデートや監視に数日間を要するという。

仮想通貨の普及率「世界第三位」のベネズエラ

ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)によると、ベネズエラは「世界で仮想通貨の普及率が高い国」の第三位にランクインしている。

同国では、ハイパーインフレにより法定通貨「ボリバル」が機能不全に陥っており、貯蓄を守る手段としても仮想通貨が利用されているとみられる。

また海外に働きに出た人々の、母国への送金手段としても、銀行口座なしで送れる仮想通貨が選択されている状況がある。

米国の制裁回避の手段でもあり、ベネズエラ政府は2018年に、世界で初めて国家による仮想通貨「ペトロ」(Petro)を発行。マドゥロ大統領は「金融封鎖を克服し、金融取引を行うための貨幣主権を強化する」ことが目的だとした。

一方で、米トランプ大統領は経済制裁を回避するものだとして、ペトロを禁止する大統領令に署名している。

経済制裁の影響で撤退する仮想通貨企業も

米国の経済制裁の影響で、ベネズエラを撤退する仮想通貨サービスプロバイダーが相次いでいる。

数カ月前、大手ピアツーピアビットコイン取引所Paxfulが、ベネズエラの営業を閉鎖。その際には、米国による経済制裁下で、ベネズエラ人にサービスを提供することはリスクが高すぎると述べた。

また、経済制裁を明示的に理由としてはいないものの人気ビットコインウォレットプロバイダーのXapoも、ベネズエラでのサービスを今年12月末に取りやめることを発表している。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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