コスト削減だけでないその狙い
中国の鉄鋼セクターがブロックチェーンを用いたソリューションを活用し、人民元を取引に活用する構想があることがわかった。国際間取引において米ドルに依存する状況から脱却する狙いがある。
デジタル人民元は主に個人や企業の取引等のリテール決済向けに設計されたCBDCだが、米中関係の悪化に伴う政治リスクを回避したい中国企業側の考えが、米ドルに依存する現状への危機感とそこから脱却を目指す動きが新たに国際取引にあたるクロスボーダー決済にデジタル人民元を応用する取り組みに繋がっている可能性がある。
英字紙China Economic Netによると、今年に入り、世界の3つの主要な鉱山と中国鉄鋼企業との取引で、世界有数の鉄鋼採掘業者が米ドルを使わずに取引が試行されている。
また、Ansteel International Trade CompanymoとRio Tinto Groupとの間で、決済額は1億人民元規模の人民元を用いたのクロスボーダー決済がブロックチェーンを活用する形で行われた。
デジタル通貨の開発において米国にリードをとっている中国だが、通貨がデジタル化したといって、国際的な機軸通貨の現状が簡単に変化するわけではない。しかし、米ドルに依存する現状が中国企業側のリスクになりつつあり、人民元のデジタル化を応用する構想が立ち上がりつつあるという。
ブロックチェーンの活用進む
デジタル人民元に限らず、中国ではブロックチェーンをクロスボーダー決済に活用する取り組みが、世界でも事務処理等のコストを削減したい鉄鋼セクターにおいてますます盛んになってきている。
中国金属材料流通协会のChen Leiming氏は、経済メディアhuoxun.comに対し、鉄鋼業界のサプライチェーンにおいてブロックチェーン技術が必要であるとして、「鉱山から始まり最終的な製品となるまでの流れにトレーサビリティを実現し効率やコスト、詐欺のリスクなどを減らすことが出来る」と重要性を語った。
また、今年6月には鉄鋼産業などにおける事務処理等の自動化を手掛けるMineHubが、世界最大の鉱業会社であるBHPグループと、中国の宝鋼集団との間での取引が同社のブロックチェーンを基盤としたプラットフォーム上で行われたことを発表。
中国の南京鋼鉄は、今年7月にジョイントベンチャーのRio Tintoとの鉄鋼石の取引で、ブロックチェーンを用いた取引を行ったことを明かしている。
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