戦略転換を計画
米リップル社が仮想通貨(暗号資産)XRPのユースケースを増やすため、事業戦略の拡大を目指している。
今までは国際送金事業を中心にを行ってきたリップル社であるが、今後はブロックチェーンを活用したアプリの開発者のためにツールを製作するなど、ユースケース拡大にも注力する。
同社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、13日の英フィナンシャル・タイムズで、リップル社は「決済業界のアマゾン」を目指していると語った。
「アマゾンも創業当初は本だけを売っていた」と説明。今や時価総額1.6兆ドルの世界有数の大企業に成長し、多分野に事業を展開するアマゾンを引き合いに出し、リップル社の今後の進化に意欲を示した。ガーリングハウスは今年2月にもCNNの取材に対し、アマゾンのような企業を目指していると述べている。
リップル社は、広範囲な商取引を行うアマゾンのプラットフォームのように、幅広いユースケースのためのブロックチェーンを利用したプラットフォーム提供を視野に入れる。
Xpringの設立
国際送金のネットワークを拡充する一方で、リップル社は投資部門「Xpring」を設立し、XRPや同社の技術を活用する仮想通貨・ブロックチェーン企業を中心に投資も行ってきた。
昨年末にXpringは、ブロックチェーン決済のためのワンストッププラットフォームを開発者のために立ち上げている。世界中の2300万人の開発者のために、ブロックチェーン上の決済をアプリに統合する時に必要なものを提供するプラットフォームだ。
Xpringの幹部はフィナンシャル・タイムズに対し、「リップル社は小切手を発行する企業からコードを書く企業へと変わった」と語った。
ガーリングハウスがツイート
フィナンシャル・タイムズの報道を受けて、日本時間の今朝、ガーリングハウスが補足するツイートを投稿した。
今回の報道に「リップル社がリセットに挑む」というタイトルがついていたことに対し、同社は戦略を『リセット』するとつもりはないと主張。国際送金などに現存する問題を解決するために、今後もXRPを活用していくと説明した。
また同社が提供するODL(旧xRapid)やリップルネットの取引量を具体的に数字で示し、成長をアピール。さらに米大手送金企業マネーグラムら数十社がODLを活用していることにも触れ、利用企業は現在も増加していると現状を伝えている。
1/ My fav skeptics are active today! (@FT @nathanielpopper) Ripple has absolutely no plans to ‘reset’ our strategy. Using XRP to solve a real-world, $10T problem, like cross-border payments, is working (1/4) https://t.co/Gkf70dq7G6
— Brad Garlinghouse (@bgarlinghouse) August 13, 2020
サンタンデール銀行の国際送金
フィナンシャル・タイムズは、リップル社の提携企業であるサンタンデール銀行の国際送金事業についても報じた。
サンタンデール銀行は、リップル社と共に国際送金アプリ「One Pay FX」を開発。国際送金は同銀事業の柱の1つだ。7月にはアプリの利用可能国を19に拡大したことが分かった。
その際アプリの最高技術責任者は、リップル社との提携を評価し、「技術だけでなく、国際送金ネットワーク『リップルネット』に参加することで、世界中の金融機関と持続可能で拡張性のある関係が築けるようになった」と語っていた。
一方で国際送金にXRPを活用することには、現在も躊躇しているという。サンタンデール銀行のニーズを満たすほど、XRPが充分な市場で活発に取引されていないことを理由に挙げた。
「One Pay FX」のCEOは「我々は可能な限り迅速に最高のユーザーエクスペリエンスを提供したい。またできるだけ多くの通貨やルートを使って運営していきたいと考えている」と語った。現在でも国際送金にはサンタンデール銀行のソフトウェアを使っている模様だ。
参考資料 : Financial Times
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