米当局、テロ組織の資金源になっていた過去最大規模の仮想通貨を押収

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1億円超の仮想通貨を押収

米国司法省は13日、当局がテロ資金調達ネットワークに対する大規模な取り締まりを実施したことを発表。100万ドル(1億円)を超える仮想通貨を押収したと報告した。

当局によると、捜査対象となった3つのネットワークでは、新型コロナのパンデミックに際したPPE(医療機関向けの個人用保護具)の違法販売や、仮想通貨ビットコイン(BTC)などで資金を集めていた。アルカイダ、ISIS、ハマスなどイスラム原理主義組織が関与していた疑いがある。

捜査は、内国歳入庁(IRS)、国土安全保障省(HSI)、連邦捜査局(FBI)のエージェントが協力して行われ、ハマスの軍事部門アルカサル旅団のアカウントの資金洗浄に関わった、150の仮想通貨アカウントをすべて捕捉したという。

テロ資金の確保には、ソーシャルメディアを駆使し、医療用の「N95マスク」をフェイスブックなどを利用して販売。慈善団体と称してソーシャルメディアで活動する「Merciful Hands」は、シリアの武装グループと繋がっていたという。

Chainalysisの分析ツールを使用、資金の流れを可視化

ブロックチェーン分析企業のChainalysisによると、2つのテロ資金調達キャンペーンの捜査に、同社が提供するツールが活用された。

ブロックチェーン分析を行うことにより、テロリストグループがソーシャルメディア上で行っている寄付キャンペーンや、金融ネットワークを調査することが可能になる。

暗号資産追跡ツール「Chainalysis Reactor」は、仮想通貨アドレスを入力することで、どのような個人・組織がそのウォレットを管理しているのか、どのようなアドレスと関連があるのかを調査できるものだ。

また、1000以上のSNSやダークネットサイトから収集したインテリジェンス情報も検索可能。これにより、送金主、資金洗浄を手伝った者、資金により購入した商品やサービスなどを明らかにする。

資金の流れを下の図のように可視化することもできる。

図は今回の捜査で生成されたものの一つ。

捜査対象となったグループは、シリアで活動する慈善団体と称して、フェイスブックなどソーシャルメディアやテレグラムなどメッセージングアプリ上でビットコインの寄付を募っていた。

しかし、資金の流れをたどると実際には、寄付で集めた資金が、過激派グループの武器購入資金として流れていくことがあったという。

IRSは仮想通貨取引所コインベースの分析ツールにも注目

ウィリアム・バー司法長官は今回の捜査に伴い、次のように述べた。

敵が現代のテクノロジーである、ソーシャルメディアや仮想通貨を使って暴力的な事柄を進めていることには誰も驚かないだろう。司法省は、テロリストグループからアメリカ国民の生命と安全を保護するために、入手できるすべてのリソースを使用する。

米国の省庁は、仮想通貨による資金洗浄・テロ資金調達に関する捜査能力の拡充を進めている。ビットコインだけではなく、モネロやジーキャッシュなど匿名性の高い通貨や、オフチェーン取引の捜索も課題だ。

例えば、IRS犯罪捜査部門はプライバシーコインの捜索に関して、公に情報提供を呼び掛けた。捜査をサポートするシステムの開発やトレーニングなどについて提供てきる企業や団体を求めている。

仮想通貨捜査の上では、Chainalysisの分析ツールがすでに政府により導入されているが、他にも仮想通貨取引所コインベースが提供するCoinbase Analyticsと呼ばれる分析プラットフォームにも関心が寄せられている。

IRSは、Coinbase Analyticsが、複数のブロックチェーンを横断して仮想通貨の流れを分析できること、法執行に役立つ独自の機能を備えることに注目しているという。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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