中央銀行、学術機関、民間企業などと共同研究
日本のブロックチェーン技術企業「LayerX」が、8月1日より新たに「LayerX Labs」を立ち上げることが判明した。
行政機関、中央銀行等、学術機関、民間企業との共同研究を行い、さらに社会でブロックチェーン採用を拡大することを目指すという。
今年度の、主な取り組みテーマは以下の3点となる。
- デジタル通貨・決済
- スマートシティ(特に、組織やサービスをまたぐデジタル化)
- パブリックブロックチェーン
活動内容としては、先に挙げたような官民様々な機関との共同研究を行うこと、基礎技術研究として学術論文を執筆することや、オープンソースコミュニティへの貢献、外部識者を招聘したアドバイザリーボードの設置、ニュースレター等を通じた研究成果の発信を掲げている。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の課題にも貢献意欲
LayerX Labs所長に就任した中村龍矢氏は株式会社Gunosy データ分析部エンジニアを経て、LayerXに創業時より参画しており、DEVCONなど世界的な開発者カンファレンスにも登壇している。
LayerX Labsを設立しました。デジタル通貨 (CBDC), スマートシティ、パブリックチェーンという三つのテーマに注力し、行政機関や民間企業との共同研究に取り組む研究開発組織です。
私は所長に就任し、フルコミットします。https://t.co/4A8AptJUYE
— 中村 龍矢 @LayerX (@nrryuya_jp) July 29, 2020
同氏はTwitterでも就任を表明し、以下のように述べた。
話題の単語をただテーマとして並べている訳ではなく、これまで弊社で色々な案件をやる中で感じた「やって来ることがほぼ確実な社会の変化の流れ」を、既に浸透した単語で表現したものです。技術スタートアップは、社会の大きな流れを明確に意識した上で、強みを作れる一点に集中すべきと考えています。
さらに、デジタル通貨については主にCBDCについて述べ、「日本でも日銀で専門部隊が作られるなど議論が加速」している中、CBDCの課題となるスケーラビリティや、資金洗浄対策(AML)とユーザープライバシーの両立などの分野で貢献していきたいと抱負を語った。
またスマートシティ分野では、サービスや組織を横断するシステム構築における、データの信頼性やプライバシーの課題に取り組むという。アクセスコントロールだけでは、ユースケースが大きく制限されてしまうという課題があり、ここに研究余地があるとしている。
日銀は20日、決済機構局に専門組織「デジタル通貨グループ」を新設したことを発表、決済システムデジタル化や中銀発行デジタル通貨(CBDC)の検討を推進するとしていた。
三井物産、MUFJとも協働
LayerXは今年3月にも、三井物産、SMBC日興証券、三井住友信託銀行と共同で新会社「三井物産デジタル・アセットマネジメント」の設立を発表した。
ブロックチェーン技術を活用して、アセットマネジメント機能全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指している。
従来、不動産・インフラを中心とした実物資産の証券化商品を巡ってはマニュアルの手続きが多く高コストになっていた。資産管理機能のデジタル化により、コスト削減や機能性の向上が期待される。
また、昨年には株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループと共同で、ブロックチェーン技術を活用した次世代金融取引サービスに関する実証実験を行っており、この結果を踏まえてさらにサービス提供に向けて共同作業を行うと発表していた。
実験では、証券決済・資金決済の一元的な自動執行と、投資家の権利保全を両立させる基盤がテストされた。
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