グアイド国会議長を大統領として認識
ベネズエラの大統領、ニコラス・マドゥロは英国の中央銀行=イングランド銀行から金(ゴールド)を引き出そうと試みたが、高等裁判所の判断により拒否されることとなった。BBCなどが報じている。
政情不安が続くベネズエラだが、英国の高等裁判所は同国の大統領をニコラス・マドゥロではなく、フアン・グアイド国会議長とする明確な判断を下した。この決定により、第54代大統領のマドゥロは、金庫に収められている18億ドル相当の金にアクセスすることは出来なくなったという。
マドゥロは2013年より同国の大統領を務めているが、2期目を争う大統領選挙において不正があったとして、日本政府や米国などは選挙結果を認めていない。
フアン・グアイドは野党で国会議長を務めており、不当な選挙に対し大統領選挙のやり直しを求め、暫定大統領であることを宣言。米国政府などもグアイド暫定大統領の就任をただちに支持した。
米国はマドゥロが実効支配するベネズエラに経済制裁を実施、英国政府もマドゥロ側からの要請による金引き出しを保留していた。
マドゥロ側はイングランド銀行に対して、金引き出しの理由として新型コロナウイルスの感染拡大対策の資金として金が必要であるとしている。
これに対しグアイド側は、金は政治腐敗に利用される可能性が高いとみなし、引き渡さないよう求めていた。
判断を迫られたイングランド銀行は、裁判所にどちらを英国政府は大統領として認めるのかの判断を求めた結果、グアイドがベネズエラの臨時大統領として認められた。
ビットコイン、仮想通貨を積極的に利用
米国の経済制裁を回避するため、マドゥロ大統領は、独自の仮想通貨であるペトロの発行や、金を売却することで資金を確保するなどしてきた。
ペトロはベネズエラの持つ石油などを裏付けとして発行された仮想通貨で、政府によって普及が進められている。
また、先月には、ベネズエラの入国管理局(SAIME)がパスポートの申請支払いでビットコインを受け付けることが報じられるなど、自国法定通貨の不安定さからか仮想通貨が積極的に利用されている実態が窺える。(現時点、その支払い方法は削除された模様)
コインダンスによれば、個人間でビットコインを取引できるLocalBitcoinsにおけるベネズエラの法定通貨での出来高は2020年に入って以降、急激に増加している。
一方、米ブルームバーグ紙の報道によると、グアイドは政権が仮想通貨の利用を促進する姿勢に対し、こういった策略に頼ることが経済危機を浮き彫りにしているとして批判している。
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