「銀行顧客へ仮想通貨の投資機会を」インドの巨大市場でタタ財閥がサービス設計

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銀行向けの仮想通貨ソリューションを発表

インドの巨大コングロマリット企業タタグループ(タタ財閥)の傘下で、同国の最大手ITサービス企業であるTata Consultancy Services(タタ・コンサルタンシーサービス、略称TSC)が、金融機関の仮想通貨関連サービスを支援するソリューションモデル「Quartzスマートソリューション」を発表した。

銀行や投資会社がクライアントへ新たに仮想通貨への投資する機会の提供やポートフォリオの多様化を実現するシステムの導入を支援する。

Tata Consultancy Services(TCS)は、46か国に44万8000人を超えるコンサルタントを抱え、2020年3月31日までの会計年度では220億ドル(約2.4兆円)の連結売上高を生み出したIT企業だ。

Quartzスマートソリューションでは、複数の仮想通貨とステーブルコイン、法定通貨にリンクされたデジタル通貨、パブリック・ブロックチェーン、そして取引場所をパッケージとして提供し、顧客が柔軟に投資戦略を決定することができる仕組みを整える。

特徴的なのは、顧客が「デジタルキャッシュ」の形で支払いを転送し、取引コスト削減と流動性への迅速なアクセスを得ることができるサービスを、金融機関が提供できるようになる機能があることだ。

また安全面でも、最高のハードウェアセキュリティモジュールと統合されており、各トランザクションの暗号化署名を可能にして、セキュリティと信頼性を保証するという。

例として、構成を設定可能なトランザクション承認ポリシーを実現する認証機能付きのマルチシグネチャーウォレット、ブロックチェーンの犯罪検知機能、コンプライアンスのアラート、取引所とOTCデスクの接続と監査機能などを有している。

Quartzのグローバルヘッド、R Vivekanandは次のように述べた。

仮想通貨、デジタル法定通貨、デジタル資産は、投資、ヘッジ、ポートフォリオの多様化のための代替手段となる態勢を整えている。進歩的な金融機関は、これらのオプションを顧客に提供しようとしている。こうした資産の取引、保管、転送のための堅牢で安全でスケーラブルなソリューションを提供できることに興奮している。

インドにおける仮想通貨への需要を反映

インドでは仮想通貨を巡る状況が一転二転している。インド中央銀行(RBI)が仮想通貨企業への銀行口座禁止令を公式に否定し、業界の気運が高まっていたが、先月インド政府が、仮想通貨を包括的に禁止する可能性のある法案を計画していると現地メディアが報じた。

ただこの状況で、インドの大手仮想通貨取引所CoinDCXのSumit Gupta CEOは「Quartzスマートソリューション」の発表を機に前向きな展望を見せた。

インド国内の金融機関にとって初めてのTCSの新サービスは、インドの仮想通貨とデジタル資産分野の巨大なポテンシャルを強力に示すものだ。

インド中央銀行はまだ仮想通貨に関する厳格な規制を策定していないが、TCSは銀行や投資会社のクライアントから直接、このような製品に対するインドでの需要増加を目撃したはずだ。

こうしたサービスが誕生したことは、従来の金融機関が仮想通貨は金融エコシステムの一部となると信じていることを示している。将来の正しい道は、賢明な仮想通貨規制を構築することだ。私はインドの仮想通貨業界に希望を抱かせるようなこのニュースに深く励まされている。

人口13億人を超えるインドは、2018年には海外からインドに790億ドル(約8.5兆円)を超える金額が送金されるなど国際送金も盛んであり、仮想通貨の次の巨大市場として注目されている。

まだ当局が仮想通貨をどのように規制していくのかは不透明な状況だが、インド最大手IT企業によるサービスのリリースは、同国内の仮想通貨需要は確実に存在していることを窺わせるものだ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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