強気サイクルか
米大手仮想通貨(暗号資産)ファンド「パンテラキャピタル」は投資家へのレポートで、ビットコイン・アルトコインの強気相場が始まったと指摘した。特に主要アルトコイン全体のドミナンスがビットコインを上回る可能性があると見ている。
5月半減期まではビットコインが全体相場を主導していたが、2020年下半期からは2回目のアルトコインの見せ場が訪れるのではないか、と論じた。
アルトの時期
パンテラキャピタルの予想レポートでは、まずビットコインが上昇して強気相場が継続したのち、アルトコイン市場が2021年にかけて本格始動する可能性が高いと予想。
初速となるビットコインは、世界的金融緩和によって新規マネーフローが充実していることを理由に、すでに強気相場が始まっているとした。
津波のようなマネーフローでビットコイン時価総額は上昇している。(3月のコロナショック比)
下図で記載するように、現在ビットコインの時価総額ドミナンス推移を確認すると、波のある推移となっている。
パンテラはアルト市場への波がビットコインの上昇がきっかけになるとする一方で、その波は大きくなり、本格的にアルトコイン全体のドミナンスがビットコインを上回るタイミングも再び訪れる可能性を指摘している。
一時は80%を超える市場ドミナンスを有したビットコインであるが、より多くの銘柄にも再び目が向くようになるとの考えだ。
ビットコインとアルトコインのドミナンスの波には「ラグ」として、以下のように説明した。
多くの投資家は最も知られているBTCを買った後に、アルトコインに利益を移す傾向がある。
株市場でいうと、アップルやアマゾンのほうなトップ株を最初に購入するのと同じ。利益が生じれば、投資家は利確し、よりリターンの大きい中小規模の株に目を向けるようになる。
強気なアルトコイン
時価総額10位以内のアルトコイン(ラージキャップ)はビットコインとの相関性が高く、特に半減期以降のパフォーマンスは好調ではなかったが、新たに立ち上がったプロジェクトを含む「ミドルキャプ」の中規模銘柄で、強いパフォーマンスが相次いだ。日本ではラージキャップの銘柄が多いことから実感しにくい側面もあるが、パンテラはこのような新たな銘柄の台頭に注目している。
パンテラは、すでにこのような銘柄に目をつけ、自社でアルトコイン20銘柄から成る「ミドルキャップ20指数」を組成して運用しているという。同指数は、「2020年からすでにビットコインのリターン率を超えており、強気相場が2021にかけて成熟するにつれ、ビットコインからより多くのドミナンスを吸収することになるだろう」、と期待感を示している。(指数の組成リストの公表はせず)
今後、2017年のバブル相場と同様、有望なアルトコインの台頭によって、2021年末までにビットコインのドミナンスは大幅に下がると予測している。
ベストリターンの銘柄
パンテラが計測した各主要アセットの年初来パフォーマンスの中で、イーサリアムが一位で+88%、二位が米ドルのマネタリー・ベースで+50%、三位がビットコインで+34%。金(ゴールド)は+17%で4位、5位の米株指数S&P500以降の順位はすべてマイナスとなっている。
6月24日に、金先物は7年ぶりの高値を更新し、1782ドルを記録した。新型コロナの第2波を懸念したリスクオフや、ドル安などの要因で買いが入っていた。
また、パンテラのファンドでも投資している銘柄として年初来最もリターンを出しているのは、0xで+98%、二位がREPで+97%だ。これらのミドルキャップ銘柄はビットコインやイーサリアム、XRPのパフォーマンスを大幅に超えている。
参考:パンテラ
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