KPMG、ブロックチェーンと従来型金融のデータを融合
世界四大監査法人の一つ、KPMG社が、従来の金融システムと、ブロックチェーンデータベースの両方からデータを収集して管理できるようにするサービス「KPMG Chain Fusion」をローンチした。
近年、ビットコインなどの仮想通貨や、中央銀行のデジタル通貨(開発中)、グローバルなステーブルコインプロジェクトなど、ブロックチェーンの採用が加速しているが、様々な機能やコンプライアンスをサポートする一貫したシステムが不足しており、さらに事業体が多様なブロックチェーンプロトコルに基づく暗号化トークンを採用するにつれて課題は複雑になっている。
特に、ブロックチェーンを土台とするシステムと従来の金融機関システムの構造は根本的に異なっており、銀行や仮想通貨関連企業は、両者をどのように接続するのかという点にも直面していた。
「KPMG Chain Fusion」は、これらの課題のソリューションとして、事業体が行うすべての取引を標準化したデータモデルを作成。国際的な規制基準への対応を助ける新たな規格を提供する。
「KPMG Chain Fusion」は、様々なブロックチェーンデータを、従来の金融システムのデータとともに、コアデータアーキテクチャに取り込んで構造化することにより、システム双方のシームレスな相互作用を実現するという。
KPMGが主な機能として挙げているのは、以下の三つである。
マネーロンダリング監視
独自のAML(資金洗浄防止)取引監視モジュールは、統合されたデータコアとブロックチェーン分析プロバイダーとの接続により、仮想通貨と従来型資産にまたがるAML対策をサポート。
MPCウォレット
カストディについても、MPC(他者間コンピューティングの略で、暗号化技術の一つ)ウォレットを統合しており、リスクやパフォーマンス分析の迅速な実装に役立つ。
準備資産管理
ブロックチェーン上の資産残高と、組織内部の他の帳簿や記録をほぼリアルタイムで照合できる機能を備えている。この機能は、各国の政策立案者の間で、準備金の検査を巡る管理体制や透明性を重視する声が高まっていることに答えたものだという。
KPMGによれば、この三つ以外にも、「KPMG Chain Fusion」は、将来的にセキュリティ、リスク管理、コンプライアンス、監査など幅広い領域における分析にも使えるようになる可能性を有している。
KPMGは現在、複数のクライアントと製品について話し合っていると述べたが、すでにこのサービスを使用開始した企業の数は明かしていない。
EY社も仮想通貨関連サービス開発
KPMGと並ぶ四大監査法人の一つ、アーンスト・アンド・ヤング社(EY)も、一般ユーザー向けの仮想通貨関連サービスを今月リリース。米国で仮想通貨の税務申告を簡単に行えるアプリだ。
複数の仮想通貨取引所データを統合、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)の様式に従って税務報告書を作成できるもの。同社は昨年にも仮想通貨の会計・課税ツール「EY Crypto-Asset Accounting and Tax(CAAT)」を立ち上げており、仮想通貨・ブロックチェーン関連のサービスを拡大している。
大手会計監査法人が、仮想通貨・ブロックチェーン分野に機会を見出していることが分かる動きであり、今後の新たなサービス展開にも注目したい。
参考:KPMG
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