シンガポールと中国がCBDC分野で協力へ
シンガポールと中国が中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)で協力関係を開始することが分かった。
シンガポール中央銀行(MAS)のラビ・メノン長官は上海で開かれた金融フォーラムで講演、中国ではCBDCの開発が盛んであることに触れ、シンガポールと中国は知識面で多くの交流を行っており、CBDCの着陸シナリオについて話し合っていると述べた。
長官によると、各国でCBDCを開発する動機は異なるが、現在シンガポールで試験運用されている「プロジェクトUbin(ウビン)」は、ブロックチェーン分散台帳技術により、国境を越えた取引と決済のコスト・時間を削減、また取引セキュリティを確保することが目標である。
2016年に開始された「プロジェクトUbin」の一環としては、昨年JPモルガンとMASが協力して、クロスボーダー決済システムのプロトタイプを開発している。
2018年にも、シンガポールMASは、カナダ銀行、イングランド中央銀行(BoE)と共に、CBDCを推奨する報告書を発表。24時間利用・追跡が可能、匿名性の保護、カウンターパーティーの信用リスクを排除、利用者の安全を向上など、国際送金のソリューションとして様々な利点があると論じていた。
リブラに対しても積極姿勢
メノン長官はFacebook主導のステーブルコイン「リブラ」についても言及。
リブラは中央銀行システムにとって様々な課題をもたらすものの、「大きな柔軟性」を持つもので 「リブラの価値を拒絶するよりも、その開発チームともっと議論すべきだ」と意見した。
リブラでは初期よりシンガポールドル(SGD)も重要視されており、先月シンガポール国有の投資ファンド「Temasek」がリブラ協会に参加することが発表されている。同ファンドの運用資金は2160億ドル(約23兆円)にものぼり、国内外で多様な分野に投資活動を展開している。
Temasekの副CEOは、「我々がリブラ協会のメンバーに参加することで、費用対効果の高い決済システムを構築するための、規制に即したグローバルなネットワーク作りに貢献できるだろう」と述べた。
シンガポールは一貫して効率的な国際決済システムを求め、CBDCやリブラの計画に携わっていることが窺える。
東アジア通貨バスケットによる国際決済ネットワークの案も
アジアでの国際決済を円滑にする提案としては、中国で通貨バスケットが提案されている。今期の中国の全国人民代表大会で、人民元、円、ウォン、香港ドルの4つの通貨に連動するトークンを作る案が提出された。
参加国の企業がデジタル通貨のウォレットを使用してクロスボーダー決済ネットワーク上で取引することが目的である。
関係者によると、各国のバスケット率は経済規模により、中国の人民元が全体の60%、日本円が約20%を提供する推算だと伝えられている。
この計画はまだ中国国内の提案レベルであるものの、実現すれば、外国為替の変動リスクを軽減し円滑な取引が可能になるという。
参考:sina
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