DeFiの仮想通貨ロックアップ額が回復
3月中旬、新型コロナウイルス危機が株式市場に与えたダメージをうけ、仮想通貨市場全体も40%以上暴落。DeFi(分散型金融)市場にロックアップされた仮想通貨の総額は数億ドルのマージンコールなどが原因で、最高額の半分以下となる5億3100万ドルまで一時下落していた。
しかし市場が回復するにつれ、幾つかの要因からロックアップ(預け入れ)額も戻り、再び10億ドルを超えている。
12億ドルを超えていた2月のピークには及ばないものの、順調に回復していることが分かる。
MakerがWBTCを担保に追加
この回復の背景としては、ビットコインからの流入増加がある。
主に、分散型金融プロジェクトのMakerが、プロトコルの担保金としてWBTCトークンを追加したためだ。
Makerは、イーサリアム上に構築されており、ユーザーはMakerに担保資産を預けて米ドルと価値がペッグされたステーブルコインDaiを融資することができる。
Makerのガバナンス決定の後、WBTCとしてロックされたビットコインの合計数は約1000から約2300へと倍に上昇、さらに6月3日には4004BTCにまで達した。WBTCはWrapped Bitcoinのことで、現物BTCに裏付けするERC20トークンとして発行するDeFiプロジェクトだ。
このことは、市場でWBTCへの関心が大きく、ビットコインプロトコルから流動性を解き放つ可能性が見込めることを示唆している。
ETHのロックアップ量は減少傾向
WBTCが増える一方で、DeFiにロックされているイーサリアム(ETH)の量は減少傾向にある。しかしETHの価格が回復しているため、ロックアップの金額自体は維持されている。
イーサリアムのロックアップ量が減少するきっかけとなったのは、「コロナショック」によるダメージの波及が大きかったが、その他にも今年2月に起きた「bZx攻撃事件」の影響があった。
この事件は今年2月中旬に、分散レンディングプロトコルのbZxが計2回攻撃され、約3,300ETHを失ったもの。bZx攻撃事件により、DeFiにロックされたETH総量は約5.8%減少したと試算される。
これはDeFiプロトコルのセキュリティに疑問を持ったユーザーが多かったことを示唆している。事件後、DeFi保険など資産の安全性を高める分野へのニーズがさらに高まっている。
また、イーサリアムは今後のアップグレードでスケーラビリティの課題を解決する方向へ動いており、DeFiに関わるソリューションの開発が進めば、イーサリアムを使ったDeFiへの期待も回復するだろう。
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