コインベースに集団訴訟
米大手仮想通貨取引所コインベースに対する集団訴訟が起こされたことがわかった。
原告は、4月14日にコインベースが上場した際に投資し、損失を被った投資家達だ。1933年の証券法に基づいて、同取引所と、 Brian Armstrong CEOなど一部の経営幹部を起訴している。
原告の申し立て内容
原告は、コインベースが上場時に提供していた資料の内容が不正確かつ誤解を招くような内容で、重要な情報が省略されていたと主張しており、主に次の点を挙げた。
- コインベースは多額の資本注入を必要としていた。
- コインベースのプラットフォームは不安定でうまく機能しなくなる可能性があった。同社が多くのユーザーを獲得するにつれて、不具合が起こりやすくなっていた。
- コインベースは事業、運営、将来見通しについて楽観的な報告を行っていたが、これは誤解を招くもので、合理的な根拠を欠いていた。
このような「コインベースの不正行為と、その証券の市場価値が急落したことにより、原告は多大な損失を被った」と続けている。コインベースが上場の1ヶ月後になってから資金調達の必要性を認め、取引プラットフォームの問題も明かしたとして、次のように指摘した。
2021年5月17日、コインベースは転換社債型新株予約権付社債の販売を通じて約12億5,000万ドル(約1,380億円)を調達する計画を発表した。また5月19日、コインベースは技術面の問題を明らかにした。その中には、同プラットフォームからお金を引き出したい人に影響した「ネットワークの混雑による遅延」も含まれる。
こうした出来事によりコインベースの「株価は10%近くに相当する約23ドル下落し、2021年5月19日の終値は約225ドルとなり、投資家に損害を与えた」と申し立てている。
転換社債型新株予約権付社債
英語でConvertible Bond(略称CB)。事前に決められた価格で株式に転換する権利を持つ社債のこと。株式にせず社債の形で保有した場合、定期的に利子を受け取ることが可能で、償還日には額面金額が払い戻される。
申し立ては、コインベースが資金調達を発表した時の、以下のようなフォーブスの報道も引用している。
コインベースは4月中旬に現金を必要としないことを示唆する直接上場(新株の発行や資金調達を伴わない)の形で株式公開を行っていたため、今回の資金調達のタイミングは投資家を驚かせた可能性がある。
なお記事執筆時点では本件について、まだコインベースからの公式発表は行われていない。
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