英、仮想通貨送金にFATFのトラベル・ルール適用へ 協議書を発表

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トラベル・ルール遵守のための立法目指す

英国財務省が、反マネロン・テロ資金調達対策に関する規制方針を示す文書を発表、国際的な規制機関である金融活動作業部会(FATF)のトラベル・ルールを、暗号資産(仮想通貨)取引に適用することについても説明した。

この文書にもとづいて、10月14日まで協議が行われ、2022年春の立法化を目指しているという。

トラベル・ルール

マネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールで、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。

対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。

 

財務省は「データ標準の開発や多くのソフトウェアソリューションの登場など、技術的な整備について情報を得ており、トラベル・ルールの実施に向けて動き出す時が来た」と述べている。

トラベル・ルールを遵守するための技術的な準備がある程度ととのったと考えている模様だ。これまでは仮想通貨関連企業によるコンプライアンスソリューションの開発を可能にするために、ルールの正式な採用を延期していたという。

財務省は次のように説明している。

政府のトラベル・ルール実施方法は、送金に使用される技術とは関係なく、トラベル・ルールが原則的に金融業界全体に対して一貫して適用されるべきという原則に基づくものだ。

トラベル・ルールによる要件は、英国で事業を行っている仮想通貨取引プロバイダーおよびカストディウォレットプロバイダーに適用される。

また、送金者と受取人の両方について、より詳細な情報(氏名、住所、口座番号、生年月日など)を報告すべき取引の閾値として1,000ポンド(約15万円)を提案した。企業は送金されるビットコイン(BTC)などの額について英ポンドに換算する必要がある。

こうした身元確認情報は、仮想通貨サービスプロバイダー同士で交換されることになる。財務省の案によると、もしあるプロバイダーが必要な情報を提供しないことが続く場合、そのプロバイダーとやり取りするサービスプロバイダーは、送金を拒否したり取引を制限するなどの措置を講じなければならない。

猶予期間の付与も提案

さらに英財務省はトラベル・ルールの要件を企業のビジネス慣行に統合するプロセスには時間がかかる可能性があることも認識しているという。そこで以下のように、企業に準備期間を与えることにも言及した。

新しい規制は、違法な金融行為の害を軽減することと、消費者と経済に利益をもたらすイノベーションを促進することの間で適切なバランスを取りながら、適切な方法で導入されることが重要だ。

そこで、コンプライアンスソリューションの実装を可能にするために、法改正後、企業に猶予期間を与えることを提案する。

金融活動作業部会(FATF)のトラベル・ルールについては各国の関係機関が対応を進めているところだ。先日、EUの行政機関である欧州委員会(EC)も仮想通貨の送金にトラベル・ルールを適用する法案を公開した。

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