「金融犯罪への懸念でユーザー保護」
イギリスのデジタル銀行Starling Bankはユーザーが暗号資産(仮想通貨)取引所に送金することを「金融犯罪への懸念」から一時的に停止していることが分かった。複数メディアが報道した。
Starling Bankはアプリやオンラインプラットフォームで銀行サービスを提供する新興のバンキングサービス。同社の広報担当者は、仮想通貨メディアDecryptに次のように説明したという。
一部の仮想通貨取引所への支払いについて、金融犯罪が疑われる取引が見られている。今回の措置は、ユーザーを保護するために取った一時的なもので、Starling Bankだけではなく、すべての銀行に関わる問題である。
広報担当者によると、Starling bankは仮想通貨取引所への支払いに特化した新たなチェック手順を設置する予定で、その後停止措置を撤回するという。禁止解除がいつになるかは現在不明だ。
一方、仮想通貨取引所から、Starling bankへの資金引き出しについては、特に制限は設けられていない。
一時、BarclaysやMonzoなど他のバンキングサービスのユーザーからも、仮想通貨取引所への送金ができないとの報告がされていたが、現在は送金可能だという報道もあり情報が錯綜している。Decryptは5月30日時点で、Monzoから仮想通貨取引所バイナンスへ送金できたと伝えた。またBarclaysは、取引所への送金をブロックしてはいないと述べている。
増加する仮想通貨投資詐欺
これらの報告と関係があるかは不明だが、イギリスの別の銀行NatWestは先週、そのユーザーに仮想通貨詐欺に注意するよう呼びかけを行っている。第1四半期に記録的な数の詐欺が報告されたことを受けたものだ。
NatWestはこれまでユーザーによる仮想通貨詐欺師への送金の多くを事前に防いできたという。しかし消費者はつねに注意を払わなければいけないと呼びかけている。
NatWestはまず「大きな利益を約束し、投資の支援を申し出る」という話を「トレーダー」を名乗る人物に持ちかけられた場合は詐欺に該当する可能性が高いと指摘。
また、仮想通貨ウォレットは自分で管理できることが重要だとして次のように続ける。
ウォレットを自分で設定できなかったり、ウォレット内のお金にアクセスできない場合は詐欺である。すぐに支払いを停止しなければならない。
また、現在イギリスの金融規制当局FCA(金融行動監視機構)に登録されていない仮想通貨取扱業者が多いことにも言及。顧客にFCAに登録された企業と取引するよう推奨している。
FCAへのライセンス登録が完了している仮想通貨関連企業は、Ziglu、Gemini Europe Services Ltd、Digivault、Archaxなどの数社のみだという。
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