PayPalの仮想通貨サービス、今後の事業展開と収益への影響は?

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PayPalは恩恵受けるか

PayPal(ペイパル)が21日に暗号資産(仮想通貨)売買のサービスを発表したことを受け、米大手投資銀行モルガン・スタンレーのリサーチャーは、仮想通貨の利用普及を促進できる「ビッグニュース」となったが、PayPalにとってそれほど利益のあるビジネスではない可能性があると分析した。

PayPalはビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュの4銘柄の売買サービスを予定する。

また、アカウント内で所有する資産を用いて、世界の2600万以上のショップで利用できる(間接的な仮想通貨決済)計画をあり、業界はこの動きを好感し、「新たな時代の到来」などとして好感した。

モルガン・スタンレーは報告書で、「現在、仮想通貨のオンライン決済は主要オンライン小売業者500のうち、わずか1%の利用範囲に留まっており、PayPalの参入を通じて、オンラインショップにおける仮想通貨の受け付けは間違いなく拡大する」と分析。その一方で、PayPalが提供する新サービスは「おそらく同社の収益には大きく影響しない」とした。

仮にSquareのCashAppのように出来高が高くなっても、全体収益の0.3%ほどになると試算。2020年の総収益を210億ドルとして、0.3%では約6300万ドルの規模となると予測している。(CashAppはPayPalと違って、ビットコインのみ対応)

仮想通貨の売買サービスがそれほど収益化に繋がらない可能性は、仮想通貨による間接的な支払いのオプションが提供されても、値上がりを期待するユーザーが必ずしも所有する仮想通貨を売却し消費に利用するとは限らず、売買出来高が高くなければ収益はそれほど期待できない、と理由を語っている。

評価されるポイントとしては、Squareなどの決済企業との競争性が生まれる点を挙げた。仮想通貨セクターにこのような企業が参入することは、ユーザーベースの拡大および今後競争力の強化において重要な戦略だと評価している。

PayPalの影響力

PayPal参入の重要性については、複数の有識者にその発言をロイター通信が紹介した。

ペイメントコンサルConsult HyperionのディレクターDavid Birch氏は、「PayPalは法定通貨のデジタル化に備え、仮想通貨業界に参入したのはスマートな戦略だが、ビットコインにとっては大きく変化を与えないだろう」とコメント。

また、イーサリアム関連企業ConsenSysのグローバルフィンテック責任者Lex Sokolin氏は、「ビットコインを知らない人たちにとって、PayPalが売買サービスを開始するのは、ビットコインを一つのデジタル資産として認めたことを意味する」と語っている。

フィンテックコンサル11:FSの共同創設者Simon Taylor氏は、PayPalの動きはいわゆる「ユーザーエンゲージメント」というユーザーの関心度を引き寄せる効果に繋がるが、PayPalにとって利益のある事業かどうかは現時点では明確ではないと見ている。「ロビンフッドもSquareもビットコインをユーザーエンゲージメントのために利用しているが、実際ユーザーがビットコインを支払いに利用するかどうかは未知の領域だ。」

また、英名門ケンブリッジ大学の研究員Michel Rauchs氏は、「仮想通貨を決済手段として利用したい人は非常に少ない。ほとんどの人は、価格の上昇から利益を得たいからだ」と指摘した。

参考:ロイター

BitGoを買収か

また、PayPalは仮想通貨関連企業の買収を検討しているようだ。

報道によると、PayPalは大手カストディ企業BitGoの買収について交渉している。あくまで事情に詳しい人物の情報による内容で、交渉は必ずしも成功するとは限らないとしている。TheBlockは情報を確認するために両社に連絡したが、「コメントできない」と回答されたという。

PayPalの売買サービスは米Paxosと提携し、Paxosが提供する仮想通貨仲介サービス(ブローカー)を介して実現する。

仮想通貨の保管に当たるカストディのほか、仲介サービスを行うBitGoを買収することで、サービスを内製化する目的がある可能性も予想されるところだ。

参考:ブルームバーグ

PayPal独自通貨の噂

PayPalが独自のデジタル通貨を発行する可能性も噂されているようだ。

英仮想通貨ファンドCoinSharesでCSOを務めるMeltem Demirors氏は22日のCNBCのインタビューで、PayPalが仮想通貨の売買に対応するのは、デジタル通貨を発行するためではないかと推測した。

今後6~12ヶ月以内、PayPalが独自のデジタル通貨をローンチしても、私は驚かない。

ーDemirors氏

1つの背景として、PayPalのCEOはフェイスブック主導の「リブラ協会」を脱退した後、規制とコンプライアンスがPayPalにとって基盤であると発言し、「リブラとは競合しない」プロダクトを開発していることについて言及していた内容があるとしている。

参考:CNBC

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