米投資銀行、カストディ事業参入へ
米投資銀行のコーウェン・グループ(Cowen Inc.)のデジタル通貨部門の投資子会社は13日、機関投資家向けの顧客に暗号資産(仮想通貨)カストディを提供すると発表した。ブロックチェーン企業PolySignへの2500万ドル(27億円)への投資と、戦略的提携を通して行う。
コーウェン・グループは1918年に設立された、米国の老舗金融サービス企業。ナスダックやニューヨーク証券取引所(NYSE)などにも上場しており、インベンストメント・バンクの他にも、トレードやブローカー業、グローバル清算やアクティブ運用の投資商品など幅広いサービスを提供する。
今回ブロックチェーン技術を活用した独自のソリューションを提供するPolySignに出資し、PolySignの子会社である「Standard Custody & Trust Company」と連携。「幅広いデジタル資産を対象に」、規制に準拠した、機関投資家レベルの仮想通貨カストディを提供する計画を明らかにした。
Standardは米ニューヨーク州の米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から信託会社としての認可を得ており、帰省されたカストディアンとして仮想通貨などのデジタル資産の保管が認められている。
Standard社の親企業、PolySignはリップル社のDavid Schwartz氏が共同設立した企業。金融機関による仮想通貨へのアクセスを提供するプロダクトを開発しており、今回完了した投資ラウンドではBlocklchain.comなどから総額5,300万ドル(約60億円)の資金を調達した。
Cowen社のJeffrey Solomon CEOはこれまでは機関投資家が参入したくても、受託者責任の影響でカストディが無い資産クラスには手が出せない状況だったと説明。
そのため仮想通貨カストディに対しては「需要がある」と述べ、「近い将来、機関投資家の顧客がデジタル資産の取引を可能にするサポートを多く提供できる」とコメントした。
機関投資家の参入
2021年に入り、仮想通貨・ブロックチェーン領域における機関投資家の参入はより顕著になってきた。
金融大手のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは自社の富裕層クライアントを対象に仮想通貨関連の投資商品の提供を開始、又は計画している。他にもフィデリティ社はカストディ事業を展開すると同時に、ビットコインETFの申請をSEC(証券取引委員会)に先日提出したばかり。
また、米仮想通貨取引所コインベースの1Q(第1四半期)決算では取引量の65%が機関投資家を占めたという統計も発表された。これまでは主に「デジタルゴールド」と称されるビットコインが主な投資対象だったが、価格高騰を受け、イーサリアム(ETH)への流入も目立つようになったと指摘した。
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