日銀 黒田総裁の見解
13日に開催された財政金融委員会にて、日本維新の会の音喜多議員が日銀の黒田総裁に対し「ステーブルコイン」について質問。 前向きな姿勢が確認された。
音喜多議員は、ステーブルコインについて「世界的通貨のデジタル化が進む中、インターネット上の円(JPY)経済圏の拡大、取引の促進は外貨獲得のメリットのほか、多種多様な利用シーンが想定される。」と評価。「ステーブルコインについどのように考えているか?」日銀のスタンスを尋ねた。
これに対し、日銀の黒田総裁は、2019年10月に議論されたG7の議長声明を踏まえ、ステーブルコイン普及には以下の4点が前提になると指摘。
- 法的確実性
- 健全なガバナンス
- オペレーションの頑健性
- サイバー耐性
これらがしっかり確保されれば、多くの人が利用する便利な決済手段にはなり得る。との見解を示した。
音喜多議員は続けて、「JPYCなどのステーブルコインは、ますます決済手段として存在感が大きくなる。」と指摘。「ブロックチェーンを使用したフィンテック技術がますます発達していく中で、民間デジタルマネーを”規制”するばかりではなく、”促進”する取り組みが必要なのではないか?」と質問した。
JPYC(JPYCoin) は、ERC20前払式支払手段で「1JPYC=1円」で取引される日本円デジタルコインのこと。
民間の取り組みを後押し
これに対し黒田総裁は、「暗号資産については、背景となる裏付け資産がなく、非常に投機的な取引が行なわれていることを各国の中央銀行は懸念している。一方で、ステーブルコインは、資産の裏付けがある。」と評価。「マネーロンダリング対策、プライバシー、データや消費者保護などの問題点を克服する必要性がある。」と前置きしつつ、「ステーブルコインが、民間部門の”競争”だけでなく”協調”を促進する触媒機能を果たし得るのではないか?と考えており、日銀としては、決済システムの改善や高度化に向けて幅広い関係者との議論を進めている。」「民間の取り組みをしっかりと後押ししていきたい。」と意欲を示した。
音喜多議員はこれを受け、「ステーブルコインの関係者からは、日本の法的な定義が見えづらいと困惑する声がある。世界の潮流に取り残されないよう、日銀として後押ししてもらいたい。」と要望を伝えた。
中国が都市部の上海のデパートなどで「デジタル人民元」の実証実験を推し進める中、日本銀行は2021年4月から2022年3月までの1年間で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)実証実験の第一段階の実施を発表。第二段階以降は、必要に応じて民間事業者や消費者が参加するパイロット実験を行う可能性もあるとしている。