「規制準拠のビットコインマイニングプール」米マラソン社が立ち上げ

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マネロン防止や経済制裁に対応

米暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Marathon Digital Holdings(以下Marathon)が、米国の規制に準拠したマイニングプール「Marathon OFAC Pool」を立ち上げたと発表した。

Marathonは、マネーロンダリング防止(AML)基準、また米財務省外国資産管理局(OFAC)の基準を遵守するこのプールにビットコイン(BTC)ハッシュレートのすべてを送信するようになったと説明した。

外国資産管理局(OFAC)は、特定の外国政府や個人、グループなどに対する米国の経済制裁プログラムを管理・実施する機関。Marathon OFAC Poolは、OFACが制裁対象として指定した国や人物の取引を処理しないようにするものだ。これにより、このプールでマイニングされたすべてのビットコインは米国の規制基準に準拠することになるという。

2021年6月1日より、このプールは他の米ビットコインマイニング企業も利用できるようになる予定。MarathonのFred Thiel CEOは、Marathon OFAC Poolを立ち上げた背景について、次のように語った。

不正な取引を除外することで、投資家や規制当局に、私たちが採掘するビットコインが「クリーン」かつ倫理的であり、規制遵守しているという安心感を与えることができる。

Thiel氏によると、ビットコイン購入には関心があるものの、ビットコインがOFACの規制基準を満たすものであるかを懸念して躊躇する大手ファンドや企業が多く存在している。新たなプールは、こうした懸念を軽減できるとThiel氏は述べた。

ハッシュレートを分散化させるねらいも

またThiel氏は、Marathon OFAC Poolの目的として、グローバルハッシュレートを分散させることにも言及。現在、中国がビットコインハッシュレートの大半を占めている状況を踏まえて次のように説明する。

マイニングパワーを北米に移すことにより、一部の外国政府が仮想通貨マイニングに干渉するリスクが軽減される。それに伴い、ネットワークはより分散化され、より強力になるだろう。

有効性を疑問視する声も

しかし、実際には不正な取引を除外できているかなどを疑問視する声も挙がっている。

あるユーザーはロシアのダークウェブHydraから送信したトランザクションが、Marathonの新たなプールで通常どおり処理されている画像を投稿した。

一方BitMEX Researchは、Marathonのプールにテスト送信したトランザクションのうち幾つかが生成されておらず、検閲が機能していることを示唆すると報告している。

また、Marathonのプールはマイニングプール全体のわずかな一部を占めるに過ぎないため、制裁対象となるトランザクションを根本的に防ぐには役立たないと指摘する識者もいた。Marathonが受け付けないことにより、制裁対象となる取引のトランザクション時間が少し伸びる可能性もあるが、他の事業者に処理されるだろうと意見する格好だ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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