PayPal創業者、デジタル通貨戦略で先行する中国に警戒感

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中国とBTC

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン決済を導入した送金大手PayPal(ペイパル)の創業者Peter Thiel氏は7日、中国政府がビットコインなどデジタル通貨について、米ドルの覇権を脅かすある種の金融兵器として捉えている可能性があるとの見方を示した。

米保守派の非営利団体「リチャードニクソン財団」が主催したカンファレンスで、トランプ政権の元官僚らと米中関係について語った内容の一部で言及した。

大手送金アプリ「PayPal」の創業者であるThiel氏は、数多くのスタートアップ立ち上げを経験した著名ベンチャーキャピタリストだ。ビットコインを筆頭に、仮想通貨支持派として知られる一方、政治献金も活発に行っており、2016年からトランプ政権を支持してきた。

中国の仮想通貨戦略

Thiel氏は、「ビットコイン推進派」であると前置きをしつつ、仮想通貨の台頭は、米ドルの地位を揺るがしかねないと考えており、中国はビットコインが米ドルの世界的地位を脅かすことを望んでいる可能性があるとの見解を示した。

その上で、「仮想通貨取引を禁じる中国は、米ドルの地位を相対的に弱めるビットコインを概念的には推したがっているようにも見受けられる。政治活用が想定されるビットコインなどデジタル通貨戦略について、米政府はもっと真剣に考慮すべきだと述べた。

一方Thiel氏は、中国は自国の法定通貨である「人民元」について、世界の準備通貨である米ドルの地位を狙ってないと語り、中国は資本口座情報の開示を避けたがる傾向にあるとした。

また、実証実験の進む「デジタル人民元」については、「全体主義的な(人民の金融活動を)測定するための手段」と例え、こちらも世界的な流通は狙っていないだろうとの見解を示した。

中国人民銀行(中央銀行に相当)の周小川元総裁は「リブラと異なり、既存の法定通貨を塗り替えるような野心はない」との立場を強調している。

米国の仮想通貨規制

Thiel氏のように、米国の仮想通貨規制が遅れていると捉える見方は少なくない。

XRP(リップル)販売が「未登録有価証券」にあたるかどうかを巡り、米SEC(証券取引委員会)から提訴を受けるリップル社のBrad Garlinghouse CEOは、昨秋から米国と中国の差について警鐘を鳴らしていた。

Garlinghouse氏は20年10月、米ニュース番組FOXに出演した際、次世代型の金融インフラの構築において「中国は世界を牽引しており、各国は遅れをとっている」と発言した。

また米政府間で「仮想通貨の定義」について明確な規制がない点が、米国における(仮想通貨・ブロックチェーン業界の)イノベーションを妨げているとの見解を示したほか、20年12月にSECから提訴された件については、米政府の不透明なスタンスが「重大な影響を及ぼした」と非難している。

背景には、政府や規制当局の理解が十分進んでいない仮想通貨業界に対する認識と不明瞭な定義がある。6日に行われた最新の裁判審議では、「ビットコインやイーサリアムは有価証券ではない」とするSEC判断の根拠について、「証拠開示手続き」の請求が裁判官に許可された。

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