JPモルガンのストラテジストがビットコインについて言及
米金融大手JPモルガンのアナリストが24日公開したノートによると、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)に対する姿勢を改めている様子だ。ストラテジストのJoyce Chang氏とAmy Ho氏がポートフォリオ内での1%を仮想通貨として保有するよう推奨したことをブルームバーグが報じた。
仮想通貨は株や債権などの伝統的な資産クラスの乱高下に対するヘッジ手段として好まれる傾向が強まる中、JPモルガンのストラテジストらは仮想通貨をポートフォリオの1%に留めるよう勧めているという。
複数のアセットが組み込まれるポートフォリオの中で、全体的なリスクを考慮し収益を最大化する為には、ポートフォリオ内での仮想通貨の保有率は最大1%にしたほうがよいだろう。
一方で、ビットコインをはじめとする仮想通貨はあくまで投資手段であって、マクロな出来事に対するヘッジ手段としてはファンディング通貨である日本円や米ドルを推奨した。
先月25日にはJPモルガンのストラテジストであるNikolaos Panigirtzoglou氏がビットコインの急落を受け、「4万ドル台に回復には機関投資家からの資金流入が不足している」とダウンサイドリスクを警戒していた。過去にもCEOのJamie Dimon氏を筆頭に、懐疑的な姿勢が垣間見える指摘が多かったが、今回は一転してビットコインをはじめとする仮想通貨を擁護する姿勢を見せた。
JPモルガンの変わりつつある姿勢は今月初頭、同社COOのDaniel Pinto氏からの発言からも伺えた。今月12日に行われたCNBCとのインタビューでは、ビットコインなどの仮想通貨取引を提供する事業計画の有無について、現在の需要はまだ高くないものの、「仮に1つの資産がさまざまな投資家やアセットマネージャーに採用されれば、我々も関わることになるだろう」と発言していた。
ポートフォリオ内のビットコイン
投資ポートフォリオ内でのビットコインなど仮想通貨の保有率は一般的な投資家の間でも話されているトピックだ。
これまでの仮想通貨に対する懐疑的な姿勢を改め、昨夏ビットコイン保有を明かした著名投資家のPaul Tudor Jonesは自身のポートフォリオの2%をBTCに投資している。
また英仮想通貨投資企業CoinSharesは、テック株のように大きい可能性を持つ一方、ゼロになるリスクもあることから伝統的なポートフォリオ比率60(株式)/40(米国債)から「ポートフォリオの4%」をビットコインに充てることを推奨していた。
米イェール大学の経済学部の教授2名が2018年に公開した論文では、仮想通貨への関心の有無に関わらず、投資ポートフォリオの6%、最低でも4%をビットコインに投資するべきだと述べていた。
対照的に、仮想通貨界隈ではポートフォリオの大半を仮想通貨で保有する投資家も少なくない。
仮想通貨投資アプリ「Abra」のCEOであるBill Barhydt氏は自身のポートフォリオの50%をビットコインに投資しているという。供給量が2,100万枚と限られている点、流動性が高い点やテクニカル面の他、センチメントが高まっている点などを投資比率を増やした要因として挙げた。
また著名投資家で投資リサーチ企業Real Vision社のRaoul Pal CEOは20年10月、自身の純資産の約6割をビットコインで保有していることを明らかにしていた。その後12月初めにはゴールド(金)を売却し、ビットコインを8割、イーサリアム(ETH)を2割の比率で買い増ししている。ポートフォリオの98%を仮想通貨の主要銘柄であるBTCとETHとした形だ。
ビットコインは2月も好調を維持し、アルト市場など仮想通貨市場全体が上昇相場にある中、イールドファーミングやNFT(非代替性トークン)など、DeFi(分散型金融)に特化した銘柄への注目も高まっている。今後も投資ポートフォリオ内での仮想通貨及びビットコインの比率に関する議論は続くだろう。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用