インド準備銀行総裁、仮想通貨への懸念を示す
インド準備銀行のShri Shaktikanta Das総裁が、CNBC—TV18のインタビューで暗号資産(仮想通貨)と中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)についての考えを示した。
総裁は「仮想通貨は金融の安定性を脅かし得る」と述べ、インド政府にもその懸念を伝えたと話している。政府は現在、仮想通貨についての方針を検討しており、必要となればインド議会も仮想通貨を議題に取り上げ、何らかの決定をくだす可能性があるという。
一方で、仮想通貨に使われているブロックチェーン技術については「その利点を活用する必要がある」と肯定した。
また、総裁はデジタル通貨(CBDC)についても言及。インド準備銀行は、将来それをローンチすることを目指して動いているが、技術的にも制度的にも課題解決に時間がかかるため、具体的な日付は決まっていないと説明する。
BloombergQuintによれば、インドでは仮想通貨を禁止する法案が間もなく議会で正式に審議される予定。民間の仮想通貨を禁止しつつ、政府がデジタル通貨の発行を検討するという、中国のような方向へ向かう可能性もあるとみられる。
「インドのウォーレン・バフェット」と呼ばれることもある、億万長者の投資家Rakesh Jhunjhunwala氏も、CNBCに「ビットコイン(BTC)を購入することは決してない」と述べ、規制当局は仮想通貨の使用を禁止すべきだと語った。
「仮想通貨は1日10%変動する可能性があり、通貨と見なすには非常に投機性が高い」と述べており、さらに「通貨を発行する力は国だけにあるべきだ」として、デジタルルピーの作成を支持する格好だ。
禁止よりも規制を求める声多数
一方で、仮想通貨禁止法案については各方面から批判の声も挙がっている。
インドの大手仮想通貨取引所WazirXのNischal Shetty CEOは、禁止は闇市場での取引増加につながり、現金による決済でビットコインを売買する人々が増えるだろうと指摘した。
さらに「インドには340以上の仮想通貨スタートアップがあり」、仮想通貨を禁止すればこうした分野で富の蓄積が妨げられ、インドがイノベーションに参加できなくなると続ける。
サイバー法の専門家N.S Nappinai氏は、仮想通貨は「通貨」ではなく一種の「資産」とみなした上で規制するのがより良い選択肢だと論じた。規制は政府、起業家、投資家を保護し、透明性も提供する「好ましい選択肢」であるという。
フィンテック企業Paysendのグローバルアカウント責任者Abhishek Tripathi氏は、仮想通貨を禁止すればインドは失うものが多いとして次のように意見した。
政府にとって、仮想通貨は単なる不安定な資産だが、その将来考えられるユースケースは無尽蔵だ。禁止するのではなく、コントロールする前提でいくつかの規制を設ける必要がある。
巨大な人口を抱えるインドは、仮想通貨市場としても将来の発展が期待されてきた。それだけに仮想通貨を巡る政策の行方を注視したいところだ。
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