なぜ、仮想通貨関連の取引口座閉鎖指示を行なったのか? ナイジェリア中銀が正当性を強調

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銀行サービス禁止に対するCBNの釈明

ナイジェリアの中央銀行(CBN)は、2月5日に公開し、国内外で大きな反響を呼んだ、暗号資産(仮想通貨)関連の銀行口座を閉鎖するよう求めた指示に関して、5ページにわたり、その正当性を説明する声明を公開した。

CBNは、2月5日付の回覧文書は仮想通貨に対して新たな制限を課すものではないと主張。仮想通貨に対する同行の姿勢、つまり、国内の銀行に対し、仮想通貨の使用、保有、取引を禁止するという立場は、2017年1月に発表した声明で既に明らかにされているとした。さらに2018年2月にも、同行の立場を繰り返し表明していたと述べた。

その上で、「仮想通貨をよく知らない人々」への説明が重要だとして、次のように仮想通貨を定義した。

「仮想通貨とは主に匿名の主体によって発行され、暗号技術により担保されたデジタル通貨。暗号技術とは、監視、説明責任および規制を妨げる、コードの暗号化と隠蔽の手法」

仮想通貨取引を禁止する国々に焦点

CBNは、銀行に対し仮想通貨取引を制限、または禁止している国々をリストアップし、同行だけが特異な立場をとっているわけではないと述べている。その顕著な例として、中国を引き合いに出し、「中国人民銀行(PBOC)は仮想通貨を違法とみなしているため、完全に仮想通貨を禁止し、取引所は閉鎖されている」と主張した。

なお、中国政府は、仮想通貨取引所、並びに取引所の利用を禁じてはいるが、人民元をビットコインなどの仮想通貨に換金して上で行う、OTC取引等を完全に禁止しているわけではない。また、報酬として仮想通貨を受け取るマイニングは禁止されていない。

また、CBNは、規制環境を整備することで仮想通貨取引を合法としている国々については言及していない。日本をはじめ、米国、カナダ、イギリス、オランダ、スイス、オーストラリア、シンガポールなど多くの国で、規制の範囲内で仮想通貨が取引されていることは周知の通りだ。

仮想通貨に対する懸念

CBNの仮想通貨に対するネガティブなコメントは、延々と続く。「暗号通貨」という名前が示唆するように、仮想通貨の支持者やユーザーは、その匿名性や、曖昧さ、そして隠蔽性を重視していると批判した。

ビットコインの名を一躍有名にした、2013年に閉鎖されたダークウェブ「シルクロード」を引き合いにだし、仮想通貨は資金洗浄やテロ資金供与など、犯罪の温床であると主張。また、ボラティリティや投機的な側面を強調し、ビットコイン懐疑派の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏の言葉を引用した。

ナイジェリアの金融システム、および若者を含むナイジェリア国民を、「金融システムの統合性、および金融の安定性に悲惨な結果をもたらす仮想通貨取引が持つリスク」から保護するために、2月5日の規制指示は必要だったとCBNは強調した。

CBNは仮想通貨を警戒しており、「ナイジェリア人が仮想通貨の使用を控えるように教育し、国家の金融システムを詐欺や投機活動から守るために、規制の権限範囲内で、あらゆる努力を続けていく」と声明を結んでいる。

ナイジェリアの仮想通貨事情

CBNの方針に対しては、仮想通貨ユーザーはもとより、国内の著名人からも数多くの批判が寄せられている。

元大統領候補で、CBNの金融システム担当局長を務めた経験を持つKingsley Moghalu氏は、金融のデジタル化が進む今日、仮想通貨を完全に禁止することは推奨できないと述べた。また、ナイジェリアは世界有数の仮想通貨普及国であり、過去5年間で5億ドル相当のビットコイン取引が行われたと指摘。国民の生活の糧としてだけではなく、投資エコシステムを支える要因として仮想通貨は重要だと主張した。

また、前副大統領のAtiku Abubakar氏は、国境閉鎖やコロナ禍により、経済が大きな打撃を受けている現時点で、ナイジェリアへの資本流入を制限する政策を導入することは誤りであるとして、政策の見直しを求めた。

同氏は、ナイジェリアでは、若者の失業問題は「緊急事態」と化しており、国内の不安が高まっていると指摘した。国の経済を閉鎖するのではなく、開放することで投資に対するあらゆる障害を取り除き、雇用を創出することが欠かせないと主張している。

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