IOTAの技術を活用
暗号資産(仮想通貨)IOTAの研究・開発に注力する非営利組織「IOTA財団」は27日、日本の経済産業省所管の独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」が資金提供するプロジェクトに加わったことを発表した。
産業インフラを対象とした当プロジェクトの目標は、日本や海外の産業インフラのセキュリティ、寿命、耐久性を強化する技術の開発だ。ブロックチェーンを含む分散型台帳技術(DLT)や人工知能(AI)を導入したシステムを構築するために、IOTAの分散型台帳技術「Tangle(タングル)」を活用する。
また、日本の保守関連企業のベストマテリアとIMCが主導。発電所やエネルギープラント等に導入するリスクベースメンテナンス(RBM)にDLTとAIを導入することで、国内の社会インフラ保全市場で大きなシェアを獲得できると期待を寄せている。
この市場規模は170兆円と評価されており、分散型データベースを利用して産業データを共有する予知保全は、世界初だとIOTA財団は発表した。
Tangleは厳密にはブロックの概念がないため、通常のブロックチェーンとは異なる。マイナーが存在せず、取引の当事者がトランザクション承認を行う仕組みになっているため、高いスケーラビリティや手数料を無料にできるというメリットがある。
技術導入のメリット
現在のRBM基準をもとにした損害予測評価も可能ではあるが、プロセスの大半が現場作業員の手作業で行われており、システムの最適化を進めるために、保守データをデジタル化してAIで処理するようにするという。
プラント内のどこにいつ保守が必要になるかを予測させ、予定外の稼働停止を回避。プラントの稼働率を改善し、不要な点検や修理を減らして、コスト削減につなげる。
そのAIシステムの鍵となる秘密性の高い関連データを高いセキュリティで収集・保存するために、IOTAのTangleを活用する。分散型のデータベースを利用することでサイバー攻撃、改ざん、情報漏洩を防ぐことが目的だ。
このプロジェクトではベストマテリアとIMCのほか、日本高圧力技術協会、化学工学会、OMC、ロイドレジスター、横浜国立大学も協業している。
IOTA財団は今後、このIOTAの技術とAIを利用した保全技術は新たなユースケースを生むと期待を示した。例えば5Gによる通信やInternet of Things(IoT:モノのインターネット)と組み合わせて現場のセンサーに利用することで、データ収集の手作業によるアプローチを改善できると述べている。
また物品の製造や建設など、ほかの業界でも活用できる可能性があるとした。
参考:IOTA財団
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