中国のデジタル人民元、ハードウォレットも併用か

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デジタル元のウォレット

中国の中央銀行が現在試運転を行う「デジタル元」について、ウォレットアプリケーションの他に、ハードウォレットも併せて用意されるようだ。

先週末、複数のユーザーはSNSに、大手銀行の「建設銀行」が個人向けのデジタル元の専用ウォレットを銀行アプリで試運転する画面を投稿した。

中国事情通のDovey Wanが掲載した画像によると、銀行アプリからデジタル元に関わる「支払い」、「受け取り」などの機能がアプリケーションに備わっている。利用条款は、残高の上限が4つのウォレットランクによって異なるという。例えば、最も高いランクとなるウォレットでは、残高の上限は、1万人民元(約1500ドル)と設定され、年間の支払い制限は、30万人民元(約4400ドル)と制限される。

ウォレットランクのアップグレードに関して、実名制におけるKYCなどの認証を終え、ウォレット数などの規定も満たせば、ウォレットのランクアップは可能だという。

Doveyは、デジタル元のアプリ利用について、あくまでプロトタイプのアプリであり、個人アプリの利用が普及すれば、小売セクターからより大規模なトランザクションに拡大し、すべての商業に導入されていくと見ている。

さらに、デジタル元が将来、中国の「プログラムのできる金融政策」の道具となり得ることも予想している。「仮に株市場が加熱すれば、中央銀行は、デジタル元が加熱するセクターへの流入を制限することができる」、と説明した。

ハードウォレットも

以上で紹介したモバイルアプリのほか、物理的ウォレットとなる「ハードウォレット」も導入される模様だ。

海外仮想通貨メディアCoinDeskの報道によると、建設銀行は現在モバイル機能と利用条款(上述)のページを取り下げたが、CoinDesk側が保存したページの内容では、別となるハードウォレットに関する言及があったという。

報道の内容によると、モバイルアプリを利用する際、デジタル元は銀行によって管理されることになるが、ハードウォレットを利用すれば、銀行を通さずに上述した資金の制限もなく自己管理ができるメリットがある。ハードウォレットは、銀行カウンターでその発行を申請することができると説明されたという。この点では、仮想通貨のホットウォレットとハードウォレットの特徴に類似する。

一方、中国の大手メディアSoHuの30日の報道によると、建設銀行はデジタル元の特設機能および利用条款のページを取り下げたことについて、説明を行なった。「これまでは、テストを行なっていたが、すでにテストの段階が終わったため、関連するコンテンツを取り下げた」という。

また、一部の同行ユーザーはそのアプリを利用し、デジタル元に換金したが、テストが終わったことに伴い、建設銀行側はユーザーの資金を既存の人民元として口座に還元していたことも同報道で報じられた。

建設銀行の試運転とはいえ、一部の利用条件の詳細やウォレットの設計が明かされたことは、今後の方向性も部分的に明らかになっていることを意味すると捉えられる。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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