感染症の時代でも「資産形成の王道」は変わらない

新型コロナウイルスの影響で世界の株式市場は大幅な下落に見舞われた。コロナ後の社会は既存の秩序や価値観が激変すると予想されていることから、今後、投資についてどう考えればよいのか不安を抱く人は多い。

 

一方、今回の株価下落をチャンスと捉える人もおり、ネット証券の新規口座開設は3月以降、急増しているという。コロナ後の資産形成はどうあるべきなのか考察する。

結論から先に言ってしまうと、いつの時代においても、資産形成の王道は長期の株式投資というのが基本原則であり、それはコロナ後の社会であっても変わらない。今回のコロナショックはリーマンショック以上のインパクトをもたらすと言われているが、近代以降の資本市場において大規模な感染爆発という出来事はすでに経験済みであり、予測不可能というほどの事態ではない。

今から約100年前の1918年から20年にかけて、今回のウイルス感染に近い「スペイン風邪」が大流行し、世界中で多くの犠牲者を出した。感染の完全終息までには3年を要しており、学校の休校やマスクの着用など、今と同じような対策が各国で実施された。

ではスペイン風邪がもたらした経済への悪影響が人類にとって致命的だったのかというとそうではない。第一次世界大戦と時期が重なっていたこともあり、実は圧倒的に戦争による影響の方が大きかった。

スペイン風邪の流行が大戦を終わらせるひとつのきっかけになったのは間違いない。だが、世界経済は一時的に戦後不況に陥ったものの、その後は復興需要などもあり、しばらくの間、好景気が続いた。感染症の流行というのは、世の中の流れをかえるきっかけにはなるが、それ自体が経済に壊滅的な影響を与えるわけではないのだ。