就任以来、独裁強化にいそしむ習近平

「ポスト習近平は習近平だけ」

産経新聞が一面記事でこう見出しを掲げたのは2017年のことだった。中国国内の権力闘争を解説した記事だったが、18年3月、この見出しは現実のものとなる。中国の国会に当たる全人代で、それまで憲法に「2期10年」までと定められていた国家主席の任期を撤廃したのだ。

12年に習近平体制がスタートしてからというもの、習近平は独裁体制の強化にいそしんできた。「ハエもトラもたたく」とのスローガンによる反腐敗運動を掲げてライバルを追い落とし、処断された共産党幹部は150万人にも上るとされる。中国お得意の権力闘争を「反腐敗運動」と置き換えることで人民の支持をも取り付けた習近平は、満を持して集団指導体制から方針を転換し、自らに権限を集中させる一強体制を作り上げることになった。任期撤廃はその到達点ともいえる。

2020年3月10日中国・武漢で、習近平国家主席は、治療を受けている患者を訪問し、日夜最前線で新型コロナウイルスと戦っている医療従事者に敬意を表した

習近平独裁体制の割を食うのは党幹部だけではない。中国人民はいまや「デジタル文革」とも呼ばれる監視・検閲下に置かれている。中国国内の監視カメラは6億台以上ともいわれているが、単に映像を記録しているだけではなく、顔認証システムによって動きを追跡し、犯歴データと突き合わせしている。当然のことながら、政府に対する異論は許されない。見つかればこちらもすぐに処断される。