テスト運用地域を拡大へ
中国の商務省が、デジタル人民元のテスト運用の実施地域を、首都の北京や香港など広範囲に拡大すると正式に発表した。
14日に、実験利用は北京、天津、河北省、長江デルタ地域、広東省、香港、マカオで実施すると説明。条件を満たせば、他の中国の中央・西部地域も参加できる。このプロジェクトは同国中銀の中国人民銀行(PBoC)が主導する。
中国のデジタル人民元発行に向けた取り組みは2014年に始まった。正式なローンチ日は発表されていないが、最近は試験運用が加速している。3月までは基本設計や法整備などの取り組みが報じられいたが、4月以降はテスト運用に関する報道が相次いだ。
最新の情報としては今月、深センなどの都市にある国有銀行の従業員が、アプリを利用して送金や決済を内部で試験的に行っていることが分かった。デジタル人民元の正式なローンチに向け、水面下で着々とテスト運用が行われていることが伝えられている。
今回発表されたプロジェクトの開始時期は明確になっていないが、テスト運用の設計は2020年の終わりまでには完成する予定と説明。デジタル人民元の発行など政府がイノベーションに取り組む目的は、中国経済の発展だと強調した。
中国のイノベーション
中国は、イノベーションを促進するための産業ビジョン「中国製造2025」を策定し、半導体やAI、電気自動車(EV)などを重要分野としている。2019年には、ブロックチェーンも新たな国家戦略として国が後押しすることを決定した。
また、今月8日にはコロナ禍でも中国のブロックチェーン業界の発展が進んでいることが明らかになった。
リサーチ企業「LongHash」のデータによると、2020年は中国で1万社以上のブロックチェーン関連企業が設立されており、その数は半年経過時点で2017年の合計値を超え、2019年のペースも上回っている。
ブロックチェーンを登記に記載した企業数は8万4410社。日本国内のブロックチェーン関連企業は430社で、数の面では大きな差が生じている模様だ。
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