ロシア最大の商業銀行、金融資産としてトークン発行を許可 ステーブルコインも視野

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ロシア貯蓄銀行、ステーブルコインの発行も視野に

ロシア最大の商業銀行Sberbankが、デジタル金融資産として利用できるトークンの発行を許可、ステーブルコインの発行も視野に入れていることが分かった。

Sberbank(ロシア貯蓄銀行)の取引事業部門責任者Sergey Popovによると、法定通貨ルーブルとペッグされたステーブルコインを発行する可能性がある。同行は、ルーブルに固定されていることにより、このトークンは様々な取引(他のデジタル資産による取引も含む)の土台、または直接的手段になり得るとしている。

ロシアでは先月、国内初の仮想通貨法案「デジタル金融資産関連法(On Digital Financial Assets:DFA)」が可決した。これによりロシア中央銀行が規制する「特別な情報システムの枠組み内」で仮想通貨を「発行、購入、販売、登録」することが可能になる。

仮想通貨関連法を進めてきた下院議員のアナトリー・アクサコフは、この法案によりロシア企業がステーブルコインを発行できると説明しており、今回のSberbankの動きもDFA法案成立を受けたプロジェクトである可能性が高い。規制整備による技術採用を示す一つの事例になる。

仮想通貨規制の全体像が分かるのは今年の後半

ロシア政府内では仮想通貨に対する意見が分かれており、ロシア経済開発省は、過度な規制は経済にとって損失になるため規制しつつ流通させることを推奨している。

しかしロシア中央銀行の副総裁は先日も「ビットコイン(BTC)のような仮想通貨は資金洗浄規制を回避するためにも使用されており、こうした犯罪セクターへの市民の投資を支持することは絶対にない」と述べた。

仮想通貨規制の実際の枠組みは、DFA法案とは別に、秋の国会で審議される「デジタル通貨関連法(DA)」によって定められることになる。政府内で仮想通貨に批判的な意見もあることから、ロシアの仮想通貨業界はまだ様子を窺っている状況だ。

ロシアユーザーの間ではUSDTが人気

ロシアでは、仮想通貨取引を合法とするDFA法案が成立する以前から仮想通貨の取引自体は活発に行われていた。

仮想通貨取引所のAAXが発行した、2020年第2四半期レポートによれば、中国のユーザーと並んでロシアのユーザーも増加したという。

特にビットコイン(BTC)や米ドルとペッグされたテザー(USDT)、ビットコイン先物の購入がロシアユーザーの間で人気。

背景としてAAXは、ロシアルーブル(RUB)のボラティリティが増加し、現行預金の金利低下が起こっていることを挙げた。購入した後は長期的に保有するユーザーが多い。

ステーブルコインについて、ベンチャー投資ファンドJump CapitalによるとUSDTなど米ドルとペッグされた銘柄が台頭しており、総額は120億ドル(約1.3兆円)近くに到達している。

米国の金融政策や債務水準などは、潜在的に米ドルの価値を下げる要因として懸念されているが、それでも国際的に見ると、米ドルはまだ多くの国の現地通貨よりも安定しており、安全な逃避資産と見なされているという。

ロシアのユーザーが自国通貨以外の逃避資産として仮想通貨を求めているとすれば、仮に法定通貨ルーブルとペッグされたステーブルコインが誕生しても、USDTなど他の仮想通貨への需要がなくなることはなさそうだ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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