英国初のライセンス取得ファンドが閉鎖
英国で政府の承認を得た、最初の仮想通貨ヘッジファンド「プライムファクターキャピタル」が閉鎖することが分かった。
プライムファクターキャピタルは、2018年に立ち上げられ、2019年7月に「代替資産投資ファンド運営者」として承認されていた。
ライセンス取得により「1億ユーロ」以上の管理が可能になっていたプライムファクターキャピタルであったが、関係者がFinancial Newsに語ったところによると、資金調達に苦労し、ここ1年間は株式売却を検討していたようだ。
今年5月には、ファンド管理ライセンスを別の仮想通貨企業に委託するで交渉開始したが、仮想通貨セクターのパフォーマンス変動があまりに大きかったことで難航していたという。
機関投資家からの需要不足
プライムファクターのCEO Nic Niedermowweは、「同ファンドは月平均4%を超えるパフォーマンスを達成しているにもかかわらず、機関投資家からの需要が不十分なため事業が衰退しまった」などと述べた。
プライムファクターをサポートしていたベンチャーキャピタルSpeedinvestのパートナー Marcel van der Heijdenは、以下のように語る。
投資家利益を保護し、英国の金融行為監督機構(FCA)規制を順守していたが、機関投資家からの需要が不十分であることにより、事業が停滞した。
両社とも、機関投資家からの需要不足を強調した格好だ。
大手会計事務所PwC(プライスウォーターハウスクーパース)が今年発表した仮想通貨ヘッジファンド業界についてのレポートによると、仮想通貨ヘッジファンドの顧客投資家の大多数(90%)を超富裕層が一族の資産などを育成するファミリーオフィス(48%)あるいは富裕層の個人(42%)が占めていた。
仮想通貨ファンドの運用総額は増加中
PwCのレポートによると、全般的に仮想通貨ファンドの運用額自体は増えている。
2019年には20億ドル(約2100憶円)を超え、18年比で2倍水準まで増加。また、2000万ドル以上の運用額を持つファンドは18年比で約85%増、平均運用額も2200万ドルから4400万ドルへと増加していた。
米国の金融大手フィデリティ傘下のFDAが2019年11月〜2020年3月の期間を対象として行った調査によると、ビットコインなど仮想通貨に着目している機関投資家は、調査対象のおよそ8割を占めた。
実際にポートフォリオヘッジなどで仮想通貨を取り入れる機関投資家も増えており、調査対象の20%がビットコイン先物を通じて仮想通貨市場に参加していた。
さらに今年4月以降には、著名ヘッジファンドルネッサンス・テクノロジーズがビットコイン先物取引に乗り出す意向を示し、著名投資家ポール・チューダー・ジョーンズ率いるファンドTudor BVIも、ビットコイン先物を投資対象として取り入れると発表。
米国では、個人退職金口座(IRA)サービスが株式、債券、ゴールドなど他の資産と並べて仮想通貨を取引する機会を提供し始めており、機関投資家からの参入は、さらに伸びていく可能性がある。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用