日銀の思惑
The Block主催のウェビナーで、株式会社野村総合研究所の主任研究員 佐藤 広大氏が日本銀行が金融包摂を優先事項として取り入れていないと論じた。現時点では「実際、デジタル通貨(CBDC)の発行を急いでいない」という。
7月16日に行われたウェビナーに登壇した佐藤氏は、日本の金融包摂に関して「日本での銀行口座の普及率が99%〜100%に達しており、海外と異なり、金融包摂自体が課題ではないため、日銀はそれを優先事項としてみなしていない」、とコメントした。
また、「日本は海外と比べ、比較的に窃盗事件が少なく、市民が安心に現金を携帯している。現金社会で、現金を利用することが非常に便利だ」と話し、デジタル通貨の発行にあたり、その必要性および日本での役割を明確にする必要があるとし、一部の現行法の修正も必要だと述べた。
日銀のリサーチはデジタル通貨に留まらず
野村総合研究所の佐藤氏によると、日銀のリサーチ範疇はデジタル通貨の発行に限定せず、クロスボーダー送金や取引情報の秘匿の研究や検証もその一部にある。
その一例は現在進めている分散型台帳技術に特化した「プロジェクト・ステラ」だ。日銀がプロジェクトの第3段階におけるクロスボーダー送金と第4段階の分散型台帳環境における取引情報の秘匿、および管理の両立の課題にフォーカスしている、と佐藤氏は説明した。
日銀は20日、決済機構局に専門組織「デジタル通貨グループ」を新設したと発表した。決済システム全体のデジタル化やデジタル通貨の検討を推進する動きと見られる。
決済機構局は「決済サービスの高度化」と「決済システムの安全性確保」を目的としてシステムの整備などの業務を行っている。
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