米シークレットサービスが明かす、仮想通貨は犯罪の「要素」に過ぎない

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シークレットサービスの仮想通貨に対する見方

米シークレットサービスのサイバー政策顧問が、犯罪において仮想通貨が果たす役割をどのように捉えているかが明らかになった。資金洗浄活動を促進する「主犯格」として度々槍玉にあげられる仮想通貨だが、シークレットサービスの見方は異なるようだ。

シークレットサービスの任務:金融システム保護

米国の「シークレットサービス」の役割として、真っ先に頭に浮かぶのは、数々の映画の題材に取り上げられているような米国大統領の身辺警護だろう。

シークレットサービスは、南北戦争後の1865年、当時横行した通貨偽造などの金融犯罪に対する防諜・捜査機関として財務省に設置された。1901年、マッキンリー大統領暗殺事件を受け、大統領の警護が任務に追加されたが、その後、警護対象も元大統領や訪米中の各国要人などに拡大していったこともあり、日常では同機関が担うセキュリテイ活動の側面がより際立っているように見える。

しかし、米フォーブスのインタビューに答えたサイバー政策顧問のJonah Force Hillは、技術の進歩により金融犯罪が複雑化する中、設立以来、シークレットサービスが国家の金融システム保護の任務を遂行するため、捜査活動を続けてきた歴史を強調。電子送金詐欺やマネーロンダリングなどの金融犯罪、法定通貨並びに財務省証券などの偽造の捜査に加え、コンピュータシステムのハッキングや仮想通貨関連の犯罪など、サイバー空間における金融犯罪の捜査もシークレットサービスの任務の範疇だと説明した。

仮想通貨関連犯罪

Hillによると、シークレットサービスが捜査をするのは、仮想通貨が金融・決済システムの統合性を脅かす場合や、詐欺またはマネロンの手段として使用されるケースに限るという。

コロナ禍を利用したサイバー犯罪や関連詐欺も増加しているが、これは、金融セクターにおける長年にわたるリスクの高まり、また国境を超えたサイバー犯罪の増加によるものであり、仮想通貨由来の問題だとは、みなしてはいないと、Hillは述べた。

「仮想通貨は単に全体的な詐欺の構成要素に過ぎない」

ーHill

犯罪の一分野とみなされず

インタビューでは、先月の米国下院金融サービス委員会の公聴会において、FBIの統計ではマネーロンダリングの4分の一に仮想通貨が使われていると言及されたことと、ブロックチェーン分析会社のChainalysisによる2019年の報告書で示された1.1%という数字に大きな開きがあることについて、Hillに意見を求めた。

Hillは、「仮想通貨関連犯罪は、実際には犯罪のカテゴリーではない」ため、犯罪の実際の数字を統計的に示すことは、難しいと答えた。

むしろ、仮想通貨は「犯罪の要素」であり、マネーロンダリング等では犯罪のツールとして使用されたり、またそれ自体が窃盗など犯罪の対象となることもあると指摘した。つまり仮想通貨関連の事件で起訴されるのは、「マネーロンダリング」や「窃盗罪」にあたり、「仮想通貨犯罪」ではないと明確にした。

「サービスとしての犯罪」に挑む

Hillは、サイバー犯罪者が、専門的な情報やサービスを有料で提供する「サービスとしての犯罪」という概念についても説明している。

サイバー犯罪者は、専門的なスキルや知識、ツールを共有し互いに協力して活動しているという。

「サービスとしての犯罪」では、犯罪グループが特定の計画のために集まり、計画が完了した後に解散する。いわば、銀行強盗のデジタル版を想像してみれば、よくわかるという。

実際の金庫破り役や警報システム解除に詳しい者、また逃走のためのドライバーや見張り役など、それぞれが異なる役割を担って犯行を行うように、サイバー犯罪でも、次のような「商品」が提供されているという。

  • コンピュータシステムの脆弱性や侵入方法
  • ユーザー名やパスワードなどアカウント資格証明
  • 社会保障番号などの公的IDに関する情報
  • 犯罪情報を保存や犯罪キャンペーンを行うためのディスクスペースを提供するホスティングサービス

このようにますます洗練され、組織化し、進化していくサイバー犯罪に対応するため、シークレットサービスは今年3月、電子犯罪作業部会(ECTF)と金融犯罪作業部会(FCTF)を統合した、サイバー詐欺作業部会(CFTF、Cyber Fraud Task Force)を設置した。

今日の金融/サイバー犯罪の効果的な捜査のためには、金融とインターネット両分野を理解し、その背景にある技術や制度を理解することが不可欠になっていることをその理由としてあげている。

参考:Forbes

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