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注文板をオフチェーンで処理
北京を拠点とする分散型取引所(DEX)のMCDEXは、仮想通貨イーサリアム(ETH)の無期限契約の提供を開始した。注文板をオフチェーンにすることで、従来の中央集権的取引所に劣らないデリバティブ取引の提供として掲げている。
提供する契約はレバレッジ上限が10倍で、分離マージン・清算の仕組みを導入している。また、マーケット価格は資金調達率(FR)のメカニズムを用いてインデックス価格に近づける。
MCDEXは、自動化マーケットメイカー(AMM)と呼ばれる仕組みをオンチェーンで導入、一方で売りと買いの注文が集約する注文板はオフチェーンで処理されている。
AMMと注文板の二つのシステムをそれぞれオンチェーン、オフチェーンで組み合わせることによって、DEXにとって課題であった分散型と効率性の両立を実現しているという。
AMMは、同じく分散型取引所のUniswapなどが導入していることでも知られる。ユーザーにとってはAMMと直接取引を行うのは、従来の成り行き注文のようなもので、直感的で素早く取引を終えることができるが、不利なレートで取引される恐れがある。
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AMMとの取引画面(MCDEXより)
注文板を利用するのは指値での注文となり、AMMと注文板との間に価格差が生じれば、裁定機会が生まれるため解消されると考えられる。
分散型と快適な取引の両立
MCDEXは、「分散型取引所は、流動性を含めたユーザー体験とどれだけ分散型を達成しているかという2要素間のトレードオフの関係に如何に折り合いをつけるかに苦心してきた」とが説明する。
MCDEXは、注文板をオフチェーンで処理することによって、分散型という性質を多少犠牲にしているが、それによって、従来型の中央集権的取引所が提供する豊富な流動性に慣れ親しんでいるユーザーにとっても、快適な取引の体験を提供しようとしている。
今後、議論を経た上で、ビットコインの無期限契約についても提供することを検討している。同じくDEXのdYdXは、今年4月よりビットコインの無期限先物の提供を開始した。
参考:MCDEX
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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