トレンド転換を判断するための材料「包み足 はらみ足」を理解しよう
仮想通貨は、伝統的な商品(株、債券等)と比較しても値動きが大きく、伝統的な商品でトレードしていた投資家も仮想通貨トレードで損失を被るケースが多いとの声も多い商品です。
しかし、値動きを作り出しているのはその商品の投資家、トレーダーであるマーケット参加者であり、当然ながら人間の感情がこの値動きを作り出しています。テクニカル分析で利用するテクニカル指標は、数値のみから計算されたものであり商品固有の特性は勘案されていません。
そのため、仮想通貨に関しても、流動性のある主要な仮想通貨に対してはテクニカル分析は有効と言えるでしょう。相場のトレンドが転換したかどうかを判断するために様々な手法が存在していますが、ここでは重要度の高いローソク足である「包み足 はらみ足」について詳しく解説していきます。
包み足とはらみ足とは
包み足とはらみ足とは、2つ続くローソク足のパターンの名前です。
1本目のローソク足の高値・安値が、2本目のローソク足の中に収まっていることを「包み足」と言います。
2本目のローソク足の高値・安値が。1本目のローソク足の中に収まっていることを「はらみ足」と言います。
(はらみ足)
(包み足)
この2つの組み合わせは、同じ方向(陽線→陽線や陰線→陰線)で登場した場合は、成立しませんので注意しましょう。
上のローソク足を見ていただくとわかりますが、次のローソク足の始値がその前の終値から飛んでいることが把握できます。しかし仮想通貨は24時間365日動いているマーケットなので、このようなローソク足は出現しません。(※一部CMEの先物等週末取引を制限している市場は例外です。)
またこの定義というのも明確には決まっておらず、ヒゲの部分まで含んで考えていいのか、実体(ヒゲではない部分)の中で考えるべきなのか等使い方は人によって、そして商品によって若干異なります。
調べて頂くと説明に違いがあるのがわかると思いますので、気になる方は調べてみてください。
この「包み足」と「はらみ足」は相場の転換点に出ることが多いとされており、基本的なローソク足の組み合わせなので覚えておきましょう。
はらみ足と包み足を実際のチャートでチェック
はらみ足と包み足が実際にどのようなところで出現するのか確認しましょう。はらみ足と包み足は結構な頻度で出現するため、このパターンが出たから相場が転換するわけではなく、あくまで転換点を探る材料の一つとしてのアラート機能として考えるといいと思います。
下記のチャートは、BTCUSDの日足チャートです。
このチャートをあえて選択している理由は、他のサイトでは相場の転換点に必ず役に立つかのようにチャートを選んで紹介されているところが多いので、決して常にそのような動きにはならないという意味合いでこのチャートを選択しています。
最初の「はらみ足」と記載している部分をご覧ください。1つ前の陽線の次に陽線のローソク足の内側に陰線が入っているローソク足が発生しているところがあると思います。少し上昇トレンドが止まり、下落方向に転じつつあるように見えますが、その後の動きを見るとまた再度反発しています。
価格が1つ前のローソク足よりも値幅が小さくなっている=価格が収斂している」ということになります。
個人的には次に動く力を溜めている時間帯という考え方で見ることが多く、このはらみ足の後に包み足が出現した場合それまで積み上がっているポジションを解消するフローや新規フローが同じ方向で出やすいため、動いた方向にポジションを持つことがベターと考えるべきでしょう。
次に、包み足を記載した部分をご覧下さい。
陽線の後に陰線が発生し、陽線の幅よりも大きい幅で動いているローソク足があリます。これが包み足です。通常ではこの包み足が発生している値動きを想像すると、
「一度上昇したものの(陽線部分)、その後下落方向の動きが継続した(陰線部分)=下落圧力が強い地合いが続いている」という動きから、そのまま下落しやすいという判断になります。
この包み足が出現した後も再度下落幅を取り戻す動きとなっており、下落が継続する形とはなりませんでした。このようにはらみ足、つつみ足が出たとしても冒頭記載したように転換点に必ずなるわけではなく、「そろそろ反転する可能性があるのではないか」というアラート機能として利用することが賢明でしょう。
包み足 はらみ足とテクニカル分析の併用
上記で説明した通り、相場の転換点を図る材料の一つになりますが、頻繁に発生するこのパターンだけではトレードの判断は難しいと言えると思います。トレードで利用するには、このようなローソク足のパターンとテクニカル分析を併用することで、反転するかどうかの判断をより正確に出来るようにすることが大切です。
一例として、テクニカル分析で知られている「ストキャスティクス」と「MACD」を併用して、どのように使うかイメージしてもらいやすいよう説明します。
ここでは、ストキャスティクスとMACDの使い方を知っているということを前提して説明していますので、基本的な見方、使い方を知らない方は調べてから続きをご覧ください。
チャート例
まず、○印をつけているローソク足で、一つ前の陽線の値幅を超えて陰線が出現しており、「包み足」のパターンが出現しました。これだけでは下落が継続するかわからないため、判断精度を高めるためにストキャスティクスで下落方向を示唆しているのかをチェックします。
ストキャスティクスは買われ過ぎの水準で推移しており、デットクロスが発生していることがわかるため、ストキャスティクスも下落を示唆していると判断します。
次にトレンドフォローで使われやすいMACDも包み足が出現したタイミングでデットクロスを形成、そしてヒストグラムもマイナス圏に突入しており、MACDも下落方向を示唆していると判断できます。つまり、全てにおいて下落方向を示唆していることから、ここから下落が継続すると判断してショートポジションを構築するという考え方になります。
実例で考え方のプロセスを説明しましたが、テクニカル分析で利用するオシレーターやインディケーターは様々な種類があり、人によって使い方は千差万別です。
また、組み合わせ方を増やして条件を追加することで正確なトレードがしやすくなりますが、条件を追加し過ぎることで、合致するタイミングがなくなりエントリーチャンスが減少することにも繋がりますので、そのバランス、頻度、そしてリスクリワードをしっかり考えて組み合わせを考えるようにしましょう。
包み足、はらみ足の他にも転換点を探る上で色々なローソク足のパターンがあるので、別途記事で解説していきたいと思います。