ビットコインと人民元の相関性
新型コロナウイルスの発生源と責任論に関する問題や、中国が香港の統制強化に向けて新法制定を目指している問題を背景にして、米中対立が先鋭化してきた。
その米中対立の懸念が高まる中、ビットコイン(BTC)と中国の法定通貨「人民元(CNY)」の相関性が話題になっている。
この相関性とは、CNYの価値が下がるとBTCの価格が上昇するというもので、2015年から2016年の値動きのデータを根拠にしている。米ドルとCNYとの関係とBTC価格を表した以下のチャートを見ると、大まかではあるが、BTCの「強さ」とCNYの「弱さ」が一致していることが分かる。
If China’s $CNY continues to weaken against $USD, then we could have a 2015 and 2016 repeat (pictured below), where $BTC strength coincided with yuan weakness. https://t.co/ISVJAZMX5O pic.twitter.com/VApfxe1SFw
— Chris Burniske (@cburniske) May 22, 2020
上記のツイートを投稿したのは、ベンチャーキャピタル「Placeholder」の投資チームに所属するChris Burniske。ツイッターのフォロワー数は12万を超える。
Burniskeはこれから人民元の価値が下がり続ければ、上記の期間と同様にBTCの価格が上昇する可能性があると指摘する。
中国元相場は27日、オフショア人民元相場が過去最低水準に迫ったが、中国人民銀行が28日、人民元の中心レートを予想より元高方向に設定。中国当局が元安に歯止めをかけることを示唆した。
管理変動相場制度を施行する中国は毎日午前に外国為替市場が取引を開始する前に人民銀行が市場の状況を反映して基準値を公表、中国国内市場の為替相場は基準値より上下2%の範囲で取引が行われる。
人民元安は中国企業の輸出には有利となる一方で、中国資本市場から資金引き揚げや、国内企業の資産逃避を招く恐れもある。
中国人の資産逃避先に
「人民元の価値が下がれば、中国の投資家が逃避資産としてBTCを購入する可能性が高まる」、「人民元の価値の低下によって、中国からBTCに資金が流れる」といった指摘はこれまでも見られてきた。
昨年8月、米大手仮想通貨ファンド企業グレースケールは、米中貿易戦争の逃避資産としてBTCの特徴を3つ挙げた。その際、深刻化している関税問題を受け、BTCの価値上昇が対米ドルの人民元のレートの引き下げに伴っていると指摘している。
SNSなどを通じたOTC市場で取引が行われるUSDTも、中国資本の影響を受けているとの観測も強い。USDT発行量増加の背景にあるとの指摘もある。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用