Uniswap、Compoundなどのトークンを委任
米大手ベンチャーキャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)」は9日、新たにトークン委任(デリゲーション)への応募フォームを公開した。
a16zはDeFi(分散型金融)プロジェクトUniswap、Compoundなどのガバナンスに参加したい個人や団体を募集。委任先を評価する上での詳しい基準も発表した。
In August we at a16z open sourced our thinking around token delegation.
Today we’re opening up a delegate application for individuals and organizations interested in participating in DeFi governance for Uniswap and Compound.https://t.co/xijgthsimx https://t.co/5H4LnebLhb
— alexkroeger.eth (@alex_kroeger) September 8, 2021
トークンは、暗号資産(仮想通貨)でもある一方、特にDeFiプロジェクトでは、ガバナンス(プロトコル管理等)に参加する投票権として機能する側面もある。トークンのデリゲーションとは、トークン保有によりもたらされる、プロジェクト運営方針などについての投票権を第三者に委任することだ。
ガバナンスとは
ある集団の経営・運営を管理監督するプロセスや仕組みのこと。DeFi(分散型金融)プロジェクトの多くでは、ガバナンストークンと呼ばれる、あるプロジェクトのガバナンスに参加するための投票権のようなものが存在する。ユーザーは、報酬のガバナンストークンの価値上昇を期待して、流動性を提供する。流動性を提供するユーザーが増えると、プロダクトの有用性が高まり、プロジェクト自体の価値が上昇する仕組みだ。
応募フォームには、申請者がプロフィール、DeFiガバナンスに関わった経験や関連する専門知識、ガバナンス提案を評価したり作成するプロセスなどを記入することになっている。
これまでの経緯
経緯として、a16zはこれまでDeFiに多額投資してトークンも大量に保有しており、そのトークンを第三者に委任してきた。しかし、a16zから委任されたグループの影響力がUniswapなどのプロジェクトで大きくなっていると懸念する声が挙がっていた。
トークン委任についての透明性を高めてほしいとの意見に応え、a16zは8月に委任先を公開。委任先の割合としては大学の組織が一番多く、スタートアップ企業、NPOも委任を受けていた。
さらに、a16zは「被委任者がトークン保有者(この場合a16z)とは独立して、自分の思う通りに投票できる権限を与えること」が重要だとも明言。a16zが委任先を評価する上では「プロトコルへの寄与」「専門性」「a16zからの独立性」その他の点から採点していると明かした。
具体的な評価基準を公開
今回は、さらに具体的な評価基準をGitHubに公開したこともツイート。透明性を重視する姿勢を示した形だ。
Candidates are assessed via 9 criteria, such as expertise and history of DeFi engagement, we specified in our delegation rubric:https://t.co/ijLR8F6m0a
— alexkroeger.eth (@alex_kroeger) September 8, 2021
GitHubによると、応募者の評価は18点満点で、「専門性」「経験」「a16zからの独立性」「多様性」「資産を預かる者としての適格性」など、9つの項目に、それぞれ2点ずつ配分されている。
より具体的に見ると、例えば「DeFiと仮想通貨の専門知識」の項目では、「応募者の経歴と、それに照らしたトークンデリゲーションへの適格性」を評価。
応募者が「仮想通貨ガバナンス、スマートコントラクト開発、コードの監督、財務リスクモデリング、DeFiプロトコルなど、委任先として理想的な経歴を有する」場合には2ポイントを加点する。
また、このような専門知識に「間接的に関連し、ソフトウェア、仮想通貨、金融のバックグラウンドを持っていて、的確な経歴」とみなされる場合は1ポイントを加点。当該DeFiプロジェクトとは関係のない経歴の場合は、点数を付けないという。
応募者は明確な評価基準をあらかじめ参照して、申請するかどうかの判断に役立てられる。
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