緩和縮小の議論進む中ビットコイン暴落、来週の注目イベントで材料が出る可能性も

Blockchain

今週(4日〜10日)の仮想通貨相場

今週のビットコイン市場は一時580万円台を記録したが、エルサルバドルのビットコイン法施行を皮切りに反落し5万ドルを割った。つられて仮想通貨市場全体も弱気相場の様相を呈した。


目次
  1. 各市場の騰落率
  2. bitbank寄稿

各指標の騰落率一覧

10日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。

週間騰落率

月初来騰落率

月間騰落率

年初来騰落率

年間騰落率

(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)

(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)

4日〜10日のBTCチャート

Tradingview

bitbankアナリスト分析

4日〜10日レポート:

今週のビットコイン(BTC)は5万ドル(≒550万円)乗せに成功した後に暴落を演じ、10日正午時点で対円相場は510万円台前半で推移している。

エルサルバドルのビットコイン法施行を控え週明け早々に5万ドルに乗せたビットコインは、アルトドレイン(アルトコインからBTCに資金が流れる現象)とエルサルバドルの400 BTC購入を手掛かりに5.3万ドル水準となる580万円にタッチした。

一方、7日にビットコイン法が実際に施行されると、事実売り的な値動きとなり相場は反落。560万円周辺でCMEの窓埋めを完了し一時は下げ止まるも、3連休明けの米市場のリスクオフが波及し5万ドル割れ。するとロスカットの連鎖が起き相場は暴落を演じ、一時は490万円周辺まで安値を広げた。

対ドルでは、BTCは4.3万ドルまで押したが、同水準で押し目買いが入り、エルサルバドルが追加で150 BTCを購入したことも後押しとなり、相場は520万円を回復した。その後、コインベースの暗号資産(仮想通貨)レンディングが証券法を違反している可能性を巡り、米証券取引委員会(SEC)が同社を訴える準備をしているとの報を受け、8日の相場は再び上値を重くしたが、2番底を突く形でこの日は底堅く推移した。

9日には、欧州中央銀行(ECB)政策理事会が債券購入ペースの縮小決定を発表したことを受けドル安が進行。これがBTC相場の支えとなり520万円をトライしたが、米市場でのリスクオフに伴う長期金利の低下が嫌気され上値を抑えられた。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】出所:bitbank.ccより作成

エルサルバドルのビットコイン法施行に伴う事実売りのリスクには先週も言及したが、流石に終値ベースで10%超安の暴落が起きたのは予想外だった。週明けに相場が5万ドルを突破したことで市場の買いの持ち高が積み上がり、ボラティリティを生み出すマグマが相応に溜まっていたということだろう。

今週はECBが緩和縮小を決定したことで、米連邦準備理事会(FRB)の次の動きが一層意識されることともなった。先週3日の米雇用統計で非農業部門雇用者数変化が市場の予想を大きく下回ったことで、9月のテーパリングアナウンスの可能性はだいぶ低くなったと言えるが、今週は7月の新規求人件数が過去最高になったり、新規失業保険申請件数が改善したりと、労働市場に関する指標は強弱まちまちともなっている。

また、10日には卸売物価指数(PPI)、14日には消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、FRBにとって物価上昇率が心地よくない水準で走り続ければ、インフレ高進懸念から政策引き締めを急ぐ声も強まると推測され、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC、21日〜22日)に向けて警戒ムードが強まるかやや懸念もある。

他方、再来週に控えた9月のFOMC会合の前に、来週には金融やフィンテックをテーマとしたカンファレンス、「SALT New York 2021」が13日〜15日で開催される。当イベントは初日からビットコインや仮想通貨全般をテーマとしたトークやディスカッションが目白押しとなっているため、何かしら材料が出る可能性もありそうだ。

 

寄稿者:長谷川友哉

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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