ビットコインマイニング企業を誘致
ロシアの暗号資産(仮想通貨)業界団体「クリプト経済・AI・ブロックチェーン協会(RACIB)」が、ビットコイン(BTC)マイニング企業をロシアに誘致するためのプロジェクトを発表した。中国政府の取り締まり強化により、中国から海外へ移転するマイニング企業を呼び込むことも狙いの一つとしている。
クリプト経済・AI・ブロックチェーン協会(RACIB)
ロシアの仮想通貨業界団体。ロシアの国家当局との対話において、業界の共通の利益を代表している。活動内容としては、関連する法的枠組みへの取り組み、ブロックチェーン技術をベースにしたプロジェクトの評価、ロシア経済のデジタル化支援、業界標準の開発や市場参加者の認証が挙げられる。
RACIBによると、ロシア連邦ではビットコインのマイニング事業にとって魅力的な電力環境が存在しているという。RACIBは次のような利点を列挙した。
- 電力が大幅に余っており、特定の地域や発電施設によっては電力容量の50%以上の余剰が発生する場合もある
- 寒冷地であるため、特別な冷凍装置を使用せずにマイニングマシンの冷却を行うことが可能
- 豊富な従来型燃料やエネルギー資源
- 広大な土地があり、大規模なエネルギー・インフラ設備を建設できる
以上のような点が、外国企業が大規模な投資を行う上でも魅力的であるとアピールしている。
さらにRACIBは、この誘致プロジェクトを推進するためにロシア連邦の行政機関や国営企業とも密接に協力しているという。現在までに、国営のエネルギー関連団体や国営企業とともに、いくつかのワーキンググループを結成しているとも明かした。
発表によると、こうしたワーキンググループの一つは、再生可能エネルギーなど環境に優しい電力リソースを用いたマイニング施設を建設するプロジェクトを進めている。ロシアでは電力源の約40%を水力や原子力が占めているが、これに加えて風力発電などの新たな電力源も検討していると説明した。
中国のマイニング企業連合とも提携
RACIBは、仮想通貨マイニング産業のロシア流入を促進するために、ロシアの様々な政府部門や、大手エネルギー企業、外国のビジネスパートナーの間に立って調整役となることも計画している。
すでに、中国の大手マイニング企業のコンソーシアム(連合)とパートナーシップを結んでいることにも触れた。この連合に参加している一連の企業は、ビットコインの世界的なハッシュレートの25%以上を占めているという。
RACIBは、このマイニング能力をロシアに移転することで、デジタル経済の市場におけるロシアの存在感を飛躍的に向上させることができると意欲を示した。
また、マイニング能力の世界的な分散化も肯定しており、次のように述べている。
中国から、米国やカナダなどの国(電気代が安く、仮想通貨に優しい政策が特徴)にマイニング事業者が移動していることから、ビットコインのネットワークがより分散化されると予想される。
このプロセスにロシアが加わることで、マイニングリソースの一地域への集中(現在の場合、北米に集中しつつある)が回避される。このことは世界のデジタル経済全体の安定性とセキュリティに良い影響を与えることは間違いないだろう。
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