「ロンドン」アップデート、今週テストネットで実装へ
7月頃の実装を控える暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の「ロンドン」アップグレードのテストネット「Ropsten」への実装が、6月24日頃(ブロック数10,499,401時点)に実施されることが分かった。
London is now finally ready to hit testnets 🇬🇧🎉
Next week, Ropsten, will upgrade, followed by Goerli & Rinkeby the weeks after.
Read this to find out how to prepare for the upgrade & expect another announcement when a mainnet block is chosen 😄https://t.co/tq0Hq56MxV
— Tim Beiko | timbeiko.eth 🦇🔊 (@TimBeiko) June 18, 2021
イーサリアム財団のTim Beiko氏は「ロンドンがテストネットで実装される準備が整った」とツイート。今週24日前後にはテストネットRopsten上でアップグレードが行われ、その後テストネットGoerliやRinkebyでのアップグレードも続くと発表している。
これらのネットワークでアップグレードが正常に行われたあと、イーサリアムのメインネットでの「ロンドン」立ち上げの運びとなる。現在のところ、メインネットでの実装は7月頃を予定している。
手数料システム改善する「EIP1559」
今回の「ロンドン」アップグレードでは、5つのイーサリアム改善案(EIP)が実装される。その中でも最も注目を集めているのは「EIP1559」だ。
EIP1559は、イーサリアムのガス代(手数料)高騰の問題に対処するため、料金システムを変更するもの。ネットワーク全体でアルゴリズムによって制御される標準化された手数料を採用し、市場が混雑している時には上昇し、空いている時には下がる仕組みである。
より高いガス代を支払うユーザーの取引が優先される従来のオークション形式では特にネットワーク混雑時に手数料高騰が問題になっていた。
またEIP1559では、手数料の一部はマイナーに送られるのではなく、「バーン(焼却)」されることになる。これにより、イーサリアムの供給量が減り、結果としてイーサリアム価格の上昇要因になりえるとも期待されている。
バーン(焼却)
仮想通貨のバーンは、株式の「自社株買い」に近い供給量を減らす仕組みで。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。バーンをすることで、流通する通貨の一枚あたりの価値が高まることになる。
仮にイーサリアム価格の上昇圧力が高まれば、マイナーにとっても恩恵がある。しかし最近は、マイナー収入における手数料の割合が高まっていたこともあり、反対するマイニングプールも存在する。
5月には、イーサリアムのマイナーは全体で、約23億5,000万ドル(約2,580億円)の収益を上げていたが、その内約13億5,000万ドル(約1,480億円)は取引手数料からのものであり、半分以上を占めている。
イーサリアムのマイニングシェア上位のプールでは「SparkPool」などが反対の立場を取っている。また「F2Pool」などは支持する立場だ。
「ロンドン」で導入されるものとしては、EIP1559に関連するいくつかの改善案の他、イーサリアム仮想マシン(EVM)の改善準備を整えるEIP3541や、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)チェーンでのマイニング難易度を上昇させ、マイナーにプルーフ・オブ・ステーク(PoS)チェーンに移動するインセンティブを与える「難易度爆弾(ディフィカルティボム)」の発動を延期するEIP3554が含まれる。
「ロンドン」アップグレードはイーサリアムがPoSに移行するETH2.0導入前の重要な段階の一つだ。イーサリアム財団は、ETH2.0移行後は、ネットワークの消費電力が現在の99.95%以下になるとの見積もりを発表した。
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