安価な原子力でマイニング事業誘致
米マイアミ市のFrancis Suarez市長は、安価な電気料金によりビットコイン(BTC)マイニング事業の誘致に努めていると明かした。米メディアCNBCのインタビューで語ったものだ。
Suarez市長は、特に原子力発電による低価格のエネルギーを念頭に置いているという。マイアミ市役所近郊には、ターキーポイント原子力発電所があり、マイアミ市に電力供給している。
米国労働省労働統計局の報告によると、1キロワット時あたりの平均電気代は、全米平均の13.3セント(約15円)に対し、マイアミでは10.7セント(約12円)と安価だ。
キロワット時
電力量や電力料金の算定に使われる単位。1kW(キロワット)の電力で1時間あたり使用される電気エネルギーのこと。
マイアミ市の属するフロリダ州全体では、原子力は天然ガスに次ぐ第2の発電量を誇る。Suarez市長は、エネルギーの価格をさらに下げる方法を考えて、すでにフロリダ・パワー&ライト社と交渉していると説明。
市長は「マイニング業者は、1時間あたりのキロワット単価を一定レベルまで抑えたいと考えている。このことは重要で、そのために私たちは電力会社と話し合っている」とCNBCに語った。
中国マイナーの移転も歓迎
また、Suarez市長は中国のマイニング事業者を、移転先として受け入れる用意もできていると話す。現在のところ「中国のマイナーから個人的に連絡を受けたことはない」ものの、「マイアミ市がビジネス誘致の機会を得られるようにしたい。多くの企業に『ここに来てほしい』と伝えているところだ」と明かした。
中国では、5月に国務院会議でビットコイン取引とマイニングを厳しく取り締まるとの方針が発表された。それ以来、暗号資産(仮想通貨)マイニングが盛んなことで知られる内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、四川省を含む地域で、自治体がマイニング企業の閉鎖を進める動きがみられている。
このため、一部のマイナーは国外への移転を準備中だという報告もされているところだ。
マイアミに拠点移したBlockchain.com
Suarez市長は、安価な電力の他に、仮想通貨マイニングに特化した他の誘致策についても検討しているという。税の優遇措置、インフラ関連のインセンティブ、規制の緩和などを企業に提供する地域を設け、これらの優遇措置によって投資を促進し、雇用を創出することが期待されるものだ。
最近マイアミ市への移転を発表した仮想通貨関連企業としてはBlockchain.com社の事例がある。仮想通貨取引所やウォレットなどのサービスを提供している同社は、ロンドンを本拠地としているが、米国の拠点についてニューヨーク市からマイアミ市へ移した。
Blockchain.com社は雇用面でもマイアミ市に寄与する予定。2021年末までに100人の正社員を雇用し、2022年にはさらに追加で200人を雇用する計画だ。また、南フロリダのSTEM(科学・技術・工学・数学)コミュニティには教育面でも貢献していく方針がある。
ニューヨーク市では最近、環境負荷を懸念し仮想通貨マイニングを制限する法案が提出されていた。
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