デジタルウォレットで公共料金支払いなど
欧州連合(EU)でデジタルウォレットの導入計画が始動していると、フィナンシャルタイムズ紙などが報じた。域内の約5億人を対象として、IDとしても使用可能なサービスを提供する考えだ。
EUの市民は単一のIDで、民間及び公共の様々なサービスに容易にアクセスすることが可能になるという。ブルームバーグが入手したとする草案によると、サービスの名称は「ヨーロッパ・デジタルIDウォレット」となっている。
デジタルウォレットは公共料金の支払いや、運転免許証のような公的な書類を保管する場所としても機能する。また、ウォレットは生体認証によってアクセスすることができる。
デジタルウォレットは義務ではないとされ、一年以内にも提供を開始する予定だとしている。
ブロックチェーン基盤のID
現在、無料で利用できるITサービスを利用する代わりにユーザーが差し出しているものの一つが個人情報だ。サービスに登録された個人情報がIT企業によって収益化されていることは、様々な問題点が指摘されている。
今回のEUのデジタルウォレットでは、デジタルウォレットのデータにアクセス出来る企業が商業利用することを防止するため、分離構造(Structural separation)を適用することが計画されているという。
また、抜本的な解決策として注目されているのが分散型ID(DID:Decentralized identity)だ。ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を利用するこの仕組みでは、IDへアクセスするには本人の持つ秘密鍵が必要であり、自分の個人情報をより完全に管理することが可能になる。
仮想通貨(暗号資産)プロジェクトでは、オントロジーなどがDIDに取り組んでいることで知られている。
また、マイクロソフトは2021年3月、分散型のデジタルIDネットワーク「ION」が、ビットコイン(BTC)のメインネット上にローンチされたと発表した。
マイクロソフト社は、2017年よりDecentralized Identity Foundation(DIF)に参加し、IONの開発に携わってきた。DIFには、米ブロックチェーン企業ConsenSysや米大手取引所Gemini、仮想通貨決済大手BitPayなども参加する。
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