ビットコインでの対価受け取り可能に
米ピアツーピア(P2P)暗号資産(仮想通貨)取引所Paxfulは、事業者がビットコイン(BTC)で代金を受け取れるようにする電子商取引(eコマース)ツール「Paxful Pay」をリリースした。
このツールをオンラインショップなどのEコマースサイトにセットアップすると、消費者はそのサイトで、350を超える支払い方法から選択して販売者に代金を支払えるようになる。支払われた代金はビットコインに変換され、販売者のデジタルウォレットに送信される仕組みだ。
現在Paxful Payで採用されている主な仮想通貨はビットコインだが、将来的にはテザー(USDT)などのステーブルコインも追加される見込み。またビットコインを事業者の銀行口座に入れる時点で、自動的に現地の法定通貨に変えるオプションも追って導入する計画があるという。
Eコマース事業者は、Paxfulの事業者ダッシュボードを使用して、各取引の追跡、収益の管理、受け取った資金の現地通貨への変換などを行うことができる。
仮想通貨の採用拡大目指す
PaxfulのCEO・共同創設者であるArtur Schaback氏は次のように説明した。
これまで、Paxful Payは地域を限って100以上の事業者と協力してテストを実施、その機能を改善してきた。
Paxful Payの正式なローンチにより、私たちは新たな事業者の獲得に向けた動きを強化中だ。世界中からより多くの事業者が参加することを期待している。
またSchaback氏は「Paxful Payの目標は、事業者とユーザーの経済的自由を向上し、Eコマースと仮想通貨の採用を世界的に拡大することだ」と続ける。
Paxfulは、2020年には顧客にデビットカードを提供し、ユーザーが金(ゴールド)とビットコインを交換できるようにするなど、利便性を高めるサービスを打ち出してきた。
アフリカ諸国にも展開
Paxfulは、Built with Bitcoin Foundationの財団を通じて、ナイジェリア、ケニア、南アフリカなどアフリカ諸国に教育と水へのアクセスを作ったほか、P2P取引所事業を展開しており、この地域での事業者獲得にも注力しているという。
Schaback氏は、Decryptのインタビューで、ナイジェリアに住む人の例を挙げた。ナイジェリアの人物が500ドル(約5万円)のiPadを購入したいが、銀行口座やその他の国際的に認められたオンライン決済方法にアクセスできない場合だ。
このように銀行口座などを持つことが難しい地域に住んでいる場合でも、「Paxful Pay」に登録していれば、支払い方法の選択肢が大きく広がることになる。
Paxful Payのプラットフォームは、Paxfulの所有するP2Pマーケットプレイスを通じて、ユーザーが支払った代金で、地元のビットコイン販売者からビットコインを購入、それを事業者に送る仕組みだ。ユーザーはこうした仲介の仕組みを知らなくても簡単に決済を行える。
Schaback氏はPaxful Payは「ビットコインに架ける見えない橋」のようなものだと語った。
PaxfulのP2P取引所は米国やアジアにもユーザーがいるが、ナイジェリアはその最大の市場の一つだ。
西アフリカの国では、資本流出に対する厳しい規制、国際送金の高い取引コスト、海外サイトでのカード決済の最低取引額などから、仮想通貨の人気が高まっている。
ナイジェリアの中央銀行は2月に、金融機関が仮想通貨取引関連の口座を提供することを禁止する措置を導入した。禁止後の3カ月間で、P2Pの取引量は27%増加。個人が仮想通貨を使用することは禁止されていないため、現時点ではPaxfulのようなP2Pプラットフォームは、この措置の影響を受けていない形だ。
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