中国政府が抱える「仮想通貨規制のジレンマ」=中華系メディア

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中華メディア、仮想通貨批判

中国の大手メディアCaixin(財新)は31日、「仮想通貨規制のジレンマ」と題した記事を公開。中国政府が暗号資産(仮想通貨)の規制を強化する要因について語った。

中国の内部事情に精通するColin Wu氏によれば、Caixin(財新)は中国の金融当局関係者に認知されている中国のメディアグループ。Caixinの記事では、中国が5月下旬、仮想通貨規制を強化する方針を表明した要因は、主に以下の通りであると解説した。

  • 内モンゴルの電力消費量が必要基準に達さなかった
  • 実体経済への貢献がない(他産業の生産能力に悪影響)
  • 中国政府の仮想通貨に対する姿勢

内モンゴル自治区の動向

中国国内の仮想通貨規制に影響を及ぼしているのは、世界的なトレンドになりつつある「脱炭素」の動きだ。

中国の習近平国家主席は昨年9月、国連総会にて2060年までにカーボンニュートラル(Co2排出量実質ゼロ)を目指す方針を発表。米国や日本など世界でも120ヶ国以上が2050年までの脱炭素宣言を表明している。

各産業の環境負荷を考慮するESG投資の重要性が高まる中、中国北部の内モンゴル自治区では、電力使用量の削減量が中央政府の基準に満たなかったという。これを受け、内モンゴル自治区における仮想通貨規制が最も厳しくなったと指摘する。

内モンゴル自治区政府は先週25日、仮想通貨禁止措置の提案を公表。6月1日まで一般から意見募集を行なっており、違反が確認された場合には中国政府が施行する社会信用システムの「不正リスト」に加えられさまざまな「社会活動」から禁止される可能性も示唆されている。

内モンゴル自治区は中国においても石炭など環境負荷が懸念される火力発電が盛んな地域で、2019年には中国のエネルギー消費目標を達成できなかった唯一の地域だった経緯がある。

 

実体経済への貢献

また、仮想通貨は「実体経済へ貢献しない」とする点も根拠として挙げられた。仮想通貨のマイニング過程において、(GPU)チップなどが活用される事で、他の業界に利用できるリソース(資源)の減少、最終的にはより重要な産業の生産能力低下につながると指摘した。

実体経済への貢献は中国政府で重視されている点で、21日に開催された「金融委員会」の会議の題目だった。先月中旬、中国の中央銀行に相当する中国人民銀行の李波(Li Bo)副総裁もデジタル人民元について語る上で実体経済への貢献に「特別な注意を払っている」と言及しており、経済システムへの統合と貢献を重要視している姿勢を示している。

 

中国政府はビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨を「完全なバブル」と捉えており、一部の投資リスクが投資経験の少ない高齢者層に転換されている点を危惧しているという。

中国リスクの最新動向

21日の中国国務院の方針を受け、一部の仮想通貨事業者は中国からの撤退や事業縮小を始めている。

24日には中国大手の仮想通貨取引所Huobiが中国国内での新規ユーザー向けデリバティブサービスの一時停止を発表。25日にはデリバティブ取引所Bybitが中国人ユーザーの制限強化を表明した。

また、マイニング関連では、クラウドマイニング企業ビットディアーも中国のIPアドレスを遮断する方針を発表しており、今後も中国における同様の動きが続くと予想される。

一方、Caixinの記事内では中国当局がビットコイン(取引)とマイニングを完全にキャンセルしたいものの、現実的には難しい部分もあると記されている。

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