NFTをガス代無料で配布、Enjin(エンジン)の新マーケティングキャンペーンで

Blockchain
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NFTをマーケティングに活用

ブロックチェーン技術を用いたエコシステムの構築と、NFT(非代替性トークン)関連の開発で知られている「Enjin(エンジン)」が、NFT領域へ新規ユーザーを取り込むことを目的として、「MyFirstNFT」と題したマーケティングキャンペーンを実施。Enjinのデジタル広告やソーシャルメディアへの投稿に反応した全世界のユーザーを対象に、デジタルアートに紐づけられた5万枚のNFTがエアドロップ(無料配布)された。

QRコードを利用したエアドロップ

今回のエアドロップでは、Enjinが開発を行うQRコード基盤の資産配布サービス「Enjin Beam」、およびNFT対応のウォレット「Enjin Wallet」が利用された。Enjin Beamを通して発行されたQRコードをEnjin Walletでスキャンすると、対象者のウォレットにNFTが送付される仕組みだ。

Enjin Walletを保有していなくても、一般的なカメラアプリなどからQRコードを読み取ると、ブラウザ上にNFTの予約ページが表示され、Enjin Walletをダウンロードした後に、予約したNFTを受け取ることも可能だったという。

Enjinはこのキャンペーンにて、Enjin Beamを用いることにより、QRコードをスキャンするだけでNFTを受け取ることができるという、斬新なマーケティング方法を提示した。Enjin曰く、マーケティング分野において想定されるEnjin Beamの活用方法は多岐に渡るという。

例えば、独自のコンテンツやブランド化されたNFTなどのデジタルおよび物理的商品を、QRコードを介して配布することにより、新規商品のプロモーションでのNFT活用だ。またゲーム業界では、NFTに紐付けられたゲーム内アイテムの配布等で、利用が見込まれているそうだ。

今回Enjinが発行した5万枚のNFTは、48時間以内にすべて取得され、38000人の新規ユーザーの獲得に繋がったという。

EnjinのCEO、Maxim Blagov氏は、今回のキャンペーンについて以下のように述べた。

マーケティングキャンペーンは、要求するのではなく与える時に最も効果を発揮します。従来、無料のアイテムを物理的に配布するのはコストがかかりすぎ、デジタルアイテムは悪用を防ぐための措置を取る必要がありました。NFTとブロックチェーンは、マーケティング業界にとって革命的です。デジタルキャンペーンのシンプルさと低コスト、そして物理的なマーケティングのエンゲージメントを兼ね備えています。顧客にリーチする新しい方法を求めている企業にとって、これは画期的です。

ガス代無料チェーンを活用

MyFirstNFTキャンペーンのNFTは、Enjinが21年4月にリリースした、ガス代無料のNFT特化型ブロックチェーン「JumpNet」上で、発行および配布された。JumpNetは、現在イーサリアムブロックチェーン上で課題と考えられているガス代に対処するために開発されたソリューションであり、今回のキャンペーンでも利用されているEnjin BeamやEnjin Walletを含むEnjin開発プロダクトと互換性があるように設計されている。

JumpNetを使用することにより、今回のキャンペーンにおける5万枚のNFTは、無料で発行・配布されている。一方、イーサリアムのブロックチェーン上で同様のことを行うと、ガス代の高騰により2021年5月24日時点で約100万ドルが必要となる。また、POA(Proof of Authority)方式ブロックチェーンであるJumpNetは、イーサリアムを利用した場合と比較すると、消費電力を99.99%も削減するとのことだ。

ガス代無料および高速処理という特徴から、これまでに大手IT企業マイクロソフトや大手仮想通貨取引所バイナンスを初めとした多くの企業が、JumpNet上でNFTを発行している。マイクロソフトは、開発者向け報酬プログラム「Azure Heroes」における報酬付与に、バイナンスは希少性の高い独自のデジタル・ファッションアイテム作成に、JumpNetを利用している。

また国内企業では、ブロックチェーンゲーム開発企業「CryptoGames」が、VTuber「雲母(きらら)ミミ」の限定NFTをJumpNet上で発行。Enjinのキャンペーンでも利用されたEnjin Beamを介し、YouTubeでのライブ配信中にNFTをエアドロップしている。

NFTをプロモーションに活用した実例

これまでNFTと言えば、ブランド品の真贋証明やアート作品の希少性証明に利用されることが多かった。しかし今回のEnjinのように、プロモーション目的でNFT技術を活用するケースも増加してきている。

例えばハリウッドでは、『Godzilla vs Kong』が21年3月に米国で上映開始されたことに合わせ、プロモーションの一環として、作品に関連した7種のNFTが販売された。NFTは、著名アーティストKode Abdo氏(通称、Bosslogic)がデザインしたもので、オークションにて1万1,495ドル(約127万円)の値がついたものもある。グローバル規模の著名映画が、上映開始に合わせてNFTを販売するのは初だと見られる。

 

国内では銀座の鮨屋「銀座渡利」が、仮想通貨界ではピザの日として知られている5月22日に、「SUSHI TOP SHOT」呼ばれるコレクションの販売を開始。SUSHI TOP SHOTでは、江戸前寿司の包丁さばきや鮨職人の技がNFT化されている。銀座渡利は、以前よりイーサリアム系DEX(分散型取引所)「Sushi Swap」のSUSHIトークンでの決済に対応していたことで知られている。

また、5月22日以前に実店舗にてSUSHIで決済を行なった客を対象に、NFTの形でレア「SUSHI TOP SHOT」を配布することも併せて発表。レア「SUSHI TOP SHOT」は、従来の会員権やVIPメンバー権のような概念がNFT化されたものであり、保有者は店舗での優待特典が受けられるという。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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