カナダ中銀「仮想通貨は依然として高リスク」

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「仮想通貨はまだ高リスク」

カナダの中央銀行が、カナダ経済における主要な金融リスクを分析した年次報告書を発表。その中で、暗号資産(仮想通貨)に関わるリスクについても経済的脆弱性の一つとして挙げた。

カナダでは米国などに先駆けて、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のETF(上場投資信託)が上場しており、投資家がこうした仮想通貨を直接保有することなく、それらにアクセスする機会が増加している。仮想通貨取引やマイニングを行う上場企業も登場しているところだ。

 

一方、報告書では仮想通貨が依然として高リスクであると指摘。まず、高いボラティリティ(価格変動)をリスクとする理由に挙げた。決済手段として仮想通貨が広く採用されるためには、投機的需要に起因するボラティリティが大きな妨げになっているとしている。

機関投資家の関心も高まっているが、「仮想通貨の本質的な価値を確立することが難しい」点もその理由として、説明している。

ステーブルコインがもたらす金融リスク

また価格変動を抑える仮想通貨としては、各国通貨などに裏付けられるステーブルコインがあるが、これにもリスクがあると続けた。特に、法定通貨カナダドルを裏付けとしないステーブルコインが広く普及した場合、カナダ中銀の金融政策や最後の貸し手(資金不足となった金融機関に対して、他の資金供給元が存在しない場合、中央銀行が一時的に資金供給すること)としての役割が妨げられる可能性を挙げている。

報告書によると、仮想通貨の人気は高まりつつあるが、これらの市場は、資産クラスとしても決済手段としてもまだ規模が小さく、カナダの金融システムに占める地位は大きくない。

一方で、もし今後、大規模なユーザーベースを持つ大手テクノロジー企業が仮想通貨を発行し、それが支払い手段として広く受け入れられるようになれば、この状況は変わる可能性があると注意を促した。

この「大手テクノロジー企業」の仮想通貨としては、Facebookが主導するステーブルコイン「ディエム(旧称リブラ)」を念頭に置いていると思われる。ディエムは、まず米国でドル担保型のコインを発行する計画だ。

 

カナダ中銀によると、仮想通貨規制は現在整備されつつあるところだが、課題も残っている。主に「仮想通貨取引プラットフォームにおける投資家保護」と「仮想通貨の不正取引への使用」だという。

仮想通貨にはそれぞれ様々な特徴があり、進化のスピードも速いため、トークンの分類や、その分類に対応する規制の設定も簡単ではないとしている。

暴落時の取引停止リスクも

Financial Timesによると、19日にビットコインが暴落した際、ビットコイン先物を扱うカナダのHorizons ETFs社は「取引クローズ時に先物価格が下限にとどまっている場合、売買注文に応じることができない」と仲介業者に警告を出していた。

今回はビットコイン価格が回復したことで先物価格も再び上場したが、価格変動リスクを改めて浮き彫りにした形だ。Horizons ETFs社のSteve Hawkins CEOは「今回の件で、個人投資家の方々が、この資産クラスがいかに不安定であるかを理解してくれたことを期待している」と話している。

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