大荒れ模様の金融市場、ビットコイン暴落で大規模ロスカットも

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ビットコイン相場

4月の消費者物価指数(CPI)は、市場予想の+3.6%を大幅に上回る前年同月比+4.2%となったことで、米長期金利(米10年物国債の利回り)が1.67%まで上昇した。新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、各国における経済活動再開と物価上昇のインフレ圧力が強まっていることが背景にある。

米連邦準備理事会(FRB)による「金融緩和縮小(テーパリング)」の前倒し懸念が強まったことでハイテク株を中心に売りが加速し、日米株式市場は3日大幅続落となった。

世界経済の打撃は依然深刻で、FRBのパウエル議長が「2022年末まで政策金利をゼロ付近で維持する」と明言するなど、金融引き締めまで猶予があるとみる向きもあるが、早期に金融正常化に向けた取り組みが議論されるとの観測もあり市場は懐疑的だ。足元では、過去最高値更新の続いた米株市場の支援材料となった、いわゆる官製相場の終焉に対する警戒感が高まっている。

このような状況を背景に仮想通貨市場も全面安に。ビットコインは一時46,000ドルまで急落。仮想通貨先物市場では、1時間で20億ドル(2200億円)相当のロングポジションが大量清算された。

4月中旬〜下旬にかけて急落していたビットコイン価格は、5月上旬にかけて大きく反騰。強気相場への回帰も視野に入ったが、60,000ドルを前にして市場占有率を示すBTCドミナンスの3年ぶりの激減もあり上値は重く、58,000ドル付近の戻り売り水準でロールリバーサル。米国時間(日本時間深夜〜明け方)の米株動向を受けて大幅下落に転じた。

日本時間9時には、大規模ロスカットを巻き込み前日比10,000ドル幅を超える下落を記録するなど短期的には売られすぎ水準にあるものの、結果的にチャートが崩れたことにより、「下落トレンド」転換の懸念が再び強まっている。

株式市場の暴落を伴うリスクオフが鮮明となった影響で、運用資金の現金化や追証回避売りを含むリスク資産の投げ売り傾向が強まったほか、下落局面でテスラ社のイーロン・マスクCEOがビットコイン決済の一時停止を発表したことも、市場心理の悪化に拍車をかけた。

 

テスラは21年3月24日にビットコイン決済の受け入れ開始を発表していたが、わずか2ヶ月弱で中止に至った格好だ。21年2月には、インフレヘッジを見据えて15億ドル(約1600億円)相当のビットコインを購入して大量保有。その後4月下旬に300億円相当を売却していた。

 

断念した理由についてイーロン・マスクは、マイニング(採掘)の消費電力に関する化石燃料などの環境問題を挙げた。

米電気自動車(EV)最大手企業であるテスラは、ESG(環境・社会・企業統治)問題に取り組んでおり、015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」及び、世界的に脱炭素社会の実現を目指すカーボンニュートラルへ向けた取り組みが進む中、取締役会や株主、顧客などから「企業理念に相反する」との圧力を受け、見直しを迫られた可能性も考えられる。

声明では、「条件次第では、将来的なビットコイン決済再開はあり得る」と含みを残したほか、「エネルギー/トランザクション消費量がビットコインの1%未満の代替仮想通貨による決済」も検討するとしており、デジタル資産決済対する前向きな姿勢は維持した。

イーロン・マスクは、数日前に実施したTwitterアンケートでは、贔屓にしているドージコイン(DOGE)の決済導入も示唆したが、ビットコインを模倣して誕生したものであるため、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)による採掘システムを利用していることから、ビットコインと同様の批判に直面する可能性がある。

 

その一方、PoW通貨への51%攻撃でPoS通貨に焦点が当たった時同様、環境問題が取り沙汰された場合、コンセンサス・アルゴリズム「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」から、「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」へと移行するイーサリアム(ETH)など、PoS通貨に追い風が吹く可能性はありそうだ。

ステーキング報酬を得る時価総額上位のPoS(DPoS)銘柄としては、イーサリアム(ETH)のほか、カルダノ(ADA)、ポルカドット(Polkadot)、テゾス(XTZ)、イオス(EOS)、トロン(TRX)、ソラナ(Solana)などがあり、チェーンリンク(Chainlink)もPoS移行を発表している。

2018年以降にモナコイン、ビットコインゴールドで立て続けに発生した、ハッシュレート(採掘速度)の低い「PoW通貨」がターゲットにされた51%攻撃被害では、2019年にかけてイーサリアムクラシック(ETC)「Reorg」発生により、世界各国の仮想通貨取引所がイーサリアムクラシックの入・出金の見合わせを余儀なくされるなどしたことで、価格急落を招いた経緯がある。

マイクロビットコイン先物は出だし好調

なお、CME Groupは、5月3日にローンチしたマイクロビットコイン先物について、週間取引量が100,000件を超えると発表した。

グローバルエクイティインデックスの担当者は、「既存のビットコイン先物とともに、機関投資家や洗練されたアクティブトレーダーに至るまで、より多くの顧客がビットコインの価格変動リスクを管理(ヘッジ)するための機能を強化する。」と述べた。

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