「仮想通貨に本質的価値はない」
イングランド銀行(英国の中央銀行)のAndrew Bailey総裁は6日、再び暗号資産(仮想通貨)について「本質的な価値がない」と批判的な発言した。欧州中央銀行(ECB)のLagarde総裁も同様の認識を持っているという。
Bailey総裁は6日の記者会見で、仮想通貨の価格が上昇している点について、以下のように見解を示した。
人々がそれらに価値を見出すことはある。仮想通貨には、外から与えられる付帯的な価値があるためだ。
しかし、仮想通貨に本質的な価値はない。
Bailey総裁は、これまでも同様の発言をしてきた経緯がある。
昨年10月にも、人々からの需要があるという意味で外形的な価値はあるかもしれないと留保しつつ、「ビットコイン(BTC)それ自体に本質的な価値を見出すことは困難」と述べていた。また、仮想通貨が決済に適していないとも批判した。
この際は、仮想通貨コミュニティから「改ざんされない台帳」「人間の判断に頼らない新規発行プログラム」など様々な面から、ビットコインには本質的価値があるとの反論がなされていた。
Bailey総裁の発言とは裏腹に、ビットコイン価格は前回総裁発言のあった10月の120万円前後から、630万円と5倍以上高騰している。仮想通貨全体の時価総額も、3,480億ドル(約38兆円)から、2兆ドル(約220兆円)以上に成長した。
しかし、相場の高騰に関わらず、Bailey氏は仮想通貨についての見解を崩していない。
「率直に言って、資産をすべて失う準備ができている場合にのみ、仮想通貨を購入するべきだ」とBailey氏は注意勧告。また 「クリプト(暗号)」というフレーズと「通貨」を組み合わせる「仮想通貨」という言葉にも違和感があり「暗号資産」という用語を好むと述べるなど、「通貨」とはみなさない姿勢を示している。
なお、イングランド銀行は4月に英大蔵省と連携して「CBDCの可能性を模索する」共同タスクフォースの設立を発表しており、中銀デジタル通貨の実用性を検討する姿勢を示している。
欧州中銀総裁も同様の見解
欧州中央銀行(ECB)のChristine Lagarde総裁も、7日にBailey氏の意見に同調する発言を行っている。
Lagarde氏は「仮想」と「通貨」という二つの概念の組み合わせはうまく機能せず、その点でBailey氏に完全に同意すると語った。
また、ECBが調査している中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルユーロは、仮想通貨と競争するものであるのかを尋ねられたLagarde氏は「仮想通貨はCBDCやステーブルコインとは異なって」おり、仮想通貨投資には大きなリスクが伴うと強調した。
さらに、具体的な銘柄は挙げなかったものの「ある種類の仮想通貨はマネーロンダリングに使われやすい」と述べた。
Lagarde氏は以前にもこうした発言を行っているが、仮想通貨コミュニティからは「マネロンの多くには米ドルやユーロなど法定通貨が関わっており」発言は不当だとする意見も挙がっている。
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